ユ リ ➡ キジカクシに変更(APGⅢ)
ローデア(オモト)
Rohdea japonica
ローデア・ヤポニカ
Lily-of-China , Sacred lily-of-China
宮城県以南~中国に分布
常緑多年草
オモトは、宮城県金華山を北限とする本州各地、四国、
九州の樹幹の陰地に自生しており、中国にも分布している。
初夏、新葉の成長に先がけ長さ7~10㎝の太い花茎を出し、
穂状花序に15~30個の花をつける。
花色は淡黄色で径約5㎜、開花後緑色の液果を結び、
初冬に赤色または朱色に熟す。
画像は12月に撮影したものであり、実は赤くなっている。
本種は園芸鉢物、庭、生け花、薬用材料として用いられている。
オモトがとくに趣味の園芸植物として広く一般に
栽培されるようになったのは寛政年間(1789~1801)になってからで、
現在最古の植物銘鑑に79のオモトの園芸品種名がみられる。
そして、文化年間(1804~1818)には大阪で萬年青会が開かれるまでになった。
このように趣味の園芸として確立したオモトは、
つづく天保年間(1830~1844)になって華やかな黄金期を迎えた。
「三百両」「四百両」と記された高価なオモトが現れたのもこの時代である。
激動の幕末にもオモトの愛好の熱はいっこうに衰えず、
今も愛好者に人気のある園芸品種は安政年間(1854~1860)以降の
この時代に産出した。
時代が大きく変わって、明治となってからのオモト栽培熱は、
初め京都を中心として高まり、とくに1881年(明治16)にたいへんな
人気になり、それが1883年には東京に移って大流行し、
たくさんの園芸品種が生まれた。
その後、1927年(昭和2)に名古屋を中心に広がったオモトブームは未曾有のもので、
1931年(昭和6)に現在の日本万年青連合会
が設立されるもととなり、幾多の新しい園芸品種を得る結果となった。
戦後しばらく沈滞していたが、1951年(昭和26)に始まった
溝渕寿吉コレクションの刺激を受けて新しい時代を迎え、
新しい園芸品種とともにおよそ400種類のオモトがいまや
全国の愛好家数万人によって栽培され、秋から冬にかけて錦鉢に
植え込んだオモトの展覧会が毎年催されるなど、
まさに伝統園芸植物の王者にふさわしい存在である。
[ 引用 : 園芸植物大事典
( 塚本洋太郎総監修:小学館発行 ) ]
【追記】
オモト属は、APGⅡ
でリユリ科から分離し、新設のスズラン科となったが、
APGⅢ でキジカクシ(クサスギカズラ)科に統合され、
キジカクシ(クサスギカズラ)科(キジカクシ(クサスギカズラ)目)のスズラン亜科に変更になった。