カ キ(柿)
カキノキ
ディオスピロス(カキノキ)
Diospyros kaki
ディオスピロス・カキ
Japanese persimmon , Kaki , Kakee ,
Chinese persimmon , Date plum , Keg fig
東アジア温帯地域原産
落葉高木
カキは、カキノキ科カキノキ属の植物で果樹として栽培されている。
カキが果樹として最も古く利用されていたのは中国で、
古書によると紀元前2世紀ころにはすでに栽培されていたようである。
日本では食物史の研究によると奈良時代にはカキが販売されていたようであるし、
平安時代の宮中の儀式の祭礼の菓子として熟柿子、干柿子、
供奉雑菜としてクリ、モモなどとともにカキが記載されている。
したがって、日本ではカキは少なくとも10世紀には重要な果樹となっていたようである。
しかしながら、カキの現在の栽培種は日本に原生したものではないようである。奈良時代にモモ、
アンズ、ウメなどともに中国から渡来したのではないかという説が有力である。
いいすれにせよ日本の風土はカキの生育に非常によく適していた。
そして、それぞれの地方で多くの栽培品種が生じ、カキの樹を植えていない家はないほどになった。
カキには甘ガキと渋ガキがある。中国には甘ガキは無く、
甘ガキは日本では鎌倉時代に出現したようである。
しかし、甘ガキも未熟な時は渋いうえ、
寒い地方では成熟しても甘くならないし、栽培品種によっては種子が
3~4個以上入ると甘くなり、入らないと渋味がのこるものである。
なお、種子ができなくても甘くなるものを完全甘ガキ、
種子ができないと甘くならないものを不完全甘ガキという。
カキの果肉内にはタンニン細胞と呼ばれる特殊細胞があり、
その中に渋いタンニン( tannin )が含まれている。
最近、カキのタンニンは、プロアントシアニジン
( proanthocyanidin )
のポリマーであることがわかったが、カキの渋いのは、
タンニン細胞が破れると、渋いタンニンが流れ出て舌のタンパク質と結合するためである。
舌にタンニンが結合すると脳が渋いと感じるようである。
カキの栽培品種について、1912年当時の農商務省農事試験場が調査したところによると、
北海道を除く全国に地方的なカキの
栽培品種があり、その数は甘ガキ406品種、渋ガキ679品種、計1085品種にもなった。
その後この中の優良品種が各地で栽培されるようになるとともに、
新しい品種も出現したが、全国的に栽培されているものは少ない。
この中で栽培面積の多い10品種は次のものである。
『富有』、『平核無』、『次郎』、『松本早生富有』、
『甲州百目』、『西条』、『会津身不知』、『伊豆』、
『愛宕』、『西村早生』の10品種で
ある。
東海地方もカキは多く作られており、
私の生まれた愛知県では最も一般的に作られているのが、次郎柿である。
次郎柿はお隣の県の静岡県周智郡森町が原産で愛知県、
静岡県のほか、ほぼ全国的に栽培されている。
果実は富有よりやや大きく扁平であるが、
富有より肩がはり、完全甘ガキで熟期は富有よりやや早い。
果肉品質は富有に勝るといわれている。
もうひとつ東海地方で有名なカキは富有柿である。
原木は岐阜県本巣郡巣南町にあったが、1929年に枯死した。
カキの中で日本中どこでも売られているのは富有柿だけである。
果実の大きいものは300gにもなるが、
ふつうは200~220gのものが多いく、
果形は扁円形で果皮は橙紅色である。
成熟期は10月下旬から11月下旬と晩生である。
完全甘ガキで品質が良く、貯蔵性にも優れている。
[ 引用 : 園芸植物大事典
( 塚本洋太郎総監修:小学館発行 ) ]
カキの花は、雌雄異株で一枚目(上)は雌花である。
東海地方では5月下旬ごろ開花する。
二枚目(左上)は、果実でありおそらく富有柿である。
11月上旬の撮影である。
三枚目(左下)は、カキの新芽であり、
春の4月ころには柿畑一面がこの新緑一色になる。