アンランジュ(安蘭樹)
バ ラ (サクラ亜科)
プセウドキドニア(カリン)
Pseudocydonia sinensis
プセウドキドニア・シネンシス
Chinese quince
中国原産
落葉小高木
カリンは、中部地方北部や東北地方などで庭に栽植されているが、
中国からの渡来年は不明である。
高さ8mくらいになる。樹皮は帯緑褐色で
成木化するにつれて鱗状にはがれて、その跡が雲紋状となる。
葉は有柄で、倒卵形あるいは長倒卵形で、
長さ4~7㎝で上面は無毛で下面には初め軟毛があり、
後に無毛となる。
葉縁に細鋸歯がつく。托葉は細く早落性である。
花は4~5月ごろ新葉とともに咲き、枝端に単生する。
花つきがまばら(四枚目参照)で見栄えはしないが、
径3㎝内外の可憐な花である。
萼は倒円錐形で5裂し、裂片は外に反曲する。
萼筒は花柄とともに無毛であるが、
萼裂片の内側に軟毛があり、縁に腺毛がある。
花弁は5個あり、淡紅色で楕円形である。
雄しべは20~22個で葯は淡紫色である。花柱は5個ある。
果実は楕円形ないし倒卵円形で長さ10㎝内外で
重さは200~500gである。果面は無毛で成熟するまでは緑色
(五枚目参照)であるが、
10~11月ごろ黄色く美しく色づき(二枚目(左)参照)芳香を放つ。
樹幹は滑らかでサルスベリの樹肌のように光沢があり、
床柱、家具などに用いられる。また、盆栽としても賞用される。
和名の由来は、本種の木目が建築家具材として重用される
マメ科のカリン(花欄) [
Ormosia henryi ]
に似ているからであるといわれている。
カリンの果肉は石細胞のためかたく、渋味があるため生食はできないが、
ペクチンが多いのでジャム、ゼリー、砂糖漬けなどに利用される。
果肉を陰干しにしたものは風邪の咳にも喘息の咳にも卓効がある。
四枚目(左)は hiro&shii
さんが、私に送ってくれたものである。
カリンの花は可愛い花である。
カリン属は、中国北部の湖北、浙江省に野生する落葉高木である。
ボケ属あるいはマルメロ属に含める見解もあるが、
ここではカリン1種だけからなる単型属であるとする
シュナイダー氏の見解に基ずきカリン属とした。