ノウゼンカズラ ➡ キ リ に変更( APGⅡ)
パウロウニア( キ リ )
Paulownia tomentosa
パウロウニア・トメントサ
Karri tree , Princess tree
九州、隠岐島、朝鮮半島などの
山野に野生状態、原産地不明
落葉高木
キリは、九州、隠岐島、 朝鮮半島などの山野に野生状態で見られるが、 原産地はまだよくわからない。
日本や朝鮮半島ではおもに材を得るために古くから栽培された。
生育の早い落葉高木で、高さ10~15mに達する。
5月に葉に先立って多数の紫色の花を咲かせる。
萼は黄褐色の蜜毛におおわれ、花冠は長さ5~6㎝である。
葉に先立って咲くとなっているが、
私が撮影したものは葉と花が同時にある。
これはキリではないのか? しかし、
どう見ても花はキリの花である。
キリ以外として可能性の高いものとして、
「タイワンウスバギリ」が考えられるが、
決め手がなく今後の検討課題である。
三枚目(左下)は、
前年の実の殻だけが残ったものである。
四枚目(左最下段)は新芽である。
キリの木材は、くすんだ白色から微紅色をした、
やや散孔材的な傾向をもつ環孔材で、
年輪は明瞭で心材と辺材の区別は明らかでなく肌もやや粗い。
比重が0.3と国産材ではもっとも軽軟で、燃えにくく、
防湿性に富み、狂いも割れも非常に少ない。
また、切削や接着が容易で磨けば光沢がでる。
このように優れた性質を多く持っており、たんす、
長持、火鉢などの家具、建築物の装飾部分をはじめ、
漆器木地、各種箱類、金庫の内貼り、琴などの楽器、
卓球のラケット、下駄、人形、仮面など、
じつにさまざまな用途がある。
[ 引用 : 園芸植物大事典
( 塚本洋太郎総監修:小学館発行 )、
花の名前(植村猶行監修:NHK出版)]
一般に「キリ」といわれているものにはいくつかある。
梧桐(ごどう)はしばしばキリと混同されるが、
これはアオギリ科のアオギリ
[ Firmiana simplex ]
である。
その他に「タイワンウスバギリ」、「ココノエギリ」、「シナギリ」
などと呼ばれるものもキリの代用品として利用されるが、
いずれも材質はおとる。
キリは中国大陸から渡来したものといわれるように、
キリ材の出土は歴史時代以前には知られていない。また、
文献上では『源氏物語』の桐壷の巻の存知や、
「枕草子」の「桐の花むらさきに咲きたる………」などの記述があり、
古くから人々に親しまれ、利用されていたことがうかがわれる。
【追記】
キリ属は、 APGⅡ
でノウゼンカズラ科から分離し、新設のキリ科(シソ目)となった。