クレソン、クレス
ウォータークレス、ミズガラシ(水芥子)、
オランダミズガラシ(和蘭水芥子)、
オランダゼリ(和蘭芹)
アブラナ
ナスツルティウム(オランダガラシ)
Nasturtium officinale
ナスツルティウム・オッフィキナレ
Watercress
ヨーロッパ、アジアの温帯原産
多年草
クレソンは、アブラナ科、オランダガラシ属の多年草で、
一般には「クレス」あるいは「クレソン」とよんで食用にしている。
ヨーロッパおよびアジアの温帯に原産し、
北アメリカに野生化している水性の多年草で、
水深などの環境条件によってやや蔓性、浮性あるいはほふく性になる。
茎は60㎝以上にもなり、茎部から容易にひげ根を発生して繁殖する。
葉は不斉の奇数羽状複葉で互生する。
小葉は1~4対からなり、頂部は卵円形で大きく、
側部は楕円形で小さい。葉縁は波状を呈する。
花は4~5月に総状花序をなして咲く。
花弁は長さ6㎜で4枚が十字状に並ぶ。
植物体および種子中にはフェニルエチル辛子油を含み、
特有の香りと辛味がある。
とくに低温や乾燥した条件では辛味が増し、赤紫色を呈する。
栽培種は野生種から選抜された改良種で、
栽培はフランスで14世紀ごろ、ドイツで17世紀ごろに始まり、
日本へは1870~71年(明治3~4) ごろ導入された。その後各地で野生化し、
平地からやや高地の清浄な川や流れのある沼に自生している。
現在栽培されているものは自生種に由来しており、
葉の形状、香などの異なる5つの系統がある。
オランダガラシ属は、水辺に生える多年草で、
北半球の温帯に6種が分布する。
羽状に分裂する葉をもち、花は白で小さく総状花序につく。
花には萼片があり、花弁は4枚が十字状に並ぶ。
雄しべは6個あり、うち4個が長い。花柱は1個あり、
太くて短い。果実は線形の長角果で、種子は各室に1~2列に並ぶ。
本属の中で、1種ウォータークレスが栽培利用されるが、
近縁種との雑種もウォータークレスとよばれ欧米では栽培されている。
本種は、しばしばミズタガラシ
Cardamine lyrata (カルダミネ・リラタ)
と混同されるが、ミズタガラシはアブラナ科カルダミネ属
(タネツケバナ属) の植物であり別物である。
見た目の葉姿はよく似ているので間違えないこと。
[ 引用 : 園芸植物大事典
( 塚本洋太郎総監修:小学館発行 ) ]