ニ レ
ゼルコウァ(ケヤキ)
Zelkova serrata
ゼルコウァ・セラタ
Japanese zelkova , Saw-leaf zelkova
日本、台湾、中国、朝鮮半島南部に分布
落葉高木
ケヤキは、日本、台湾、中国、朝鮮半島南部に分布し、
国内では本州、四国、九州などの平地および丘陵地に自生し、
本州の代表的な有用樹木である。落葉高木で、
高さ30mあまりになる。幹は直立し上部で傘形の樹形となる。
樹形は
ムクノキ に似ている。
花は4~5月に新葉が5~6葉展開したころにつく。
雌花は新梢の上部に単生し、雄花は新梢下部に密生して咲く。
ケヤキの材は、年輪のはじめに大道管がふつう1層に並ぶ環孔材で、
晩材部はでは小道管が多数密集して雲紋状をなす。
辺材は淡黄褐色で心材では褐色から紅褐色と濃色になる。
大道管がほとんど1層に並んでいるので縦の材面には木理がはっきりと表れる。
とくに板目面では美しい紋様となり、老大木では玉杢、
鶉杢、牡丹杢などよい杢が現れることが多い。
比重は0.69くらいと国産材では重いほうで、
肌はやや粗く、堅硬、強靭であり、耐朽、耐湿性がよく、
狂いも少なく、加工しやすさは中位である。
北海道を除く日本全土に広く分布しており、
とくに農家の屋敷林などによく植えられ身近にあること、
木が巨大なまでに成長するので木材の蓄積が大きいこと、
そして上述の優秀な材質とがあいまって、
国産の広葉樹ではもっともよい木材資源として、
きわめて広い用途がある。
とくに寺社などの巨大な建築物、家屋の大黒柱、
太鼓の胴、臼などに大径木が用いられる。
花粉分析などの結果から推定すると、
縄文時代以降ずっとケヤキは日本人の身近にあったと考えられる。
縄文時代前期からすでに漆塗りの鉢様のものや杭、
建築材様のものなどにケヤキが発見され、
とくに漆器木地としては時代が下がるにつれて出土例も多くなり、
こういった例から、古くから日本人の生活を支えてきた木材であることがわかる。
一枚目(右上) は、5月の撮影であり、新芽の状態である。
二枚目(左上) は、3月の撮影であり、葉のない状態である。
三枚目(左) は、11月の撮影であり、紅葉した状態である。
四枚目(左)は、 Junko さんが、
「巨木めぐり」のタイトルで、次のコメントをつけて、
私に送ってくれたものである。
『 昨日滋賀県の高月町まで「巨木めぐり」をしてきました。
近江米の産地、水田がきれいでした。真ん中は樹齢300年の大イチョウ・
右は矢張り樹齢300年の野神ケヤキです。野神さんと昔は呼ばれて
信仰の対象だったそうです。ほとんどは神社にありました。』
ケヤキ属は、アジアの東部と西部に5種が分布する。
落葉高木または低木である。樹皮はやや平滑で、剥離して落ちる。
葉は単葉で互生し、鋸歯縁で羽状脈がよく目立つ。
花は単性または雑居性で、雄花は若枝の葉腋や苞液に集まり、
雌花は1個あるいは少数が若枝の上部の葉腋につく。
いずれも花被は4~5裂する。
雄しべは4~5個である。花柱は中央からずれている。
果実は歪んだ石果である。
[ 引用 : 園芸植物大事典
( 塚本洋太郎総監修:小学館発行 ) ]