ザクロ ➡ ミソハギに変更( APGⅡ)
プニカ(ザクロ)
Punica granatum
プニカ・グラナツム
Pomegranate
小アジア、アフガニスタン、ヒマラヤに分布
落葉小高木
ザクロは、イラン高原を中心とした小アジアからアフガニスタン、
ヒマラヤにかけて分布する落葉小高木である。
花は新梢の先端につき6月ごろ開花する。
萼は革質で基部は漏斗状となり子房と癒着し、先端は5~8裂する。
花弁はふつう6個であるが、5~8個の変異がある。
果実は初秋に成熟し、球形で橙紅色で上部に宿存萼があって
外果皮が不整に裂開する。
食用とするのは赤色多汁の外種皮で、リンゴ酸、
クエン酸を含み清涼飲料の原料ともなる。
ザクロは、人類の歴史の中で、もっとも古く栽培の始まった
果樹のひとつであり、ユダヤの第2番目の王ソロモンも
3000年前ザクロの果樹園を開いたというほどである。
ギリシア時代にはカルタゴ人が愛好し、
ラテン系民族の南ヨーロッパ各国や北アメリカに定着し、
「カルタゴのリンゴ」という愛称まである。
現在でもイタリア、フランス、スペインなど地中海沿岸諸国、
イラン、アラビア、アフガニスタン、ロシア、インド、
中国などでは果樹として栽培されている。
ザクロの英名はラテン語に由来し、「種子の多いリンゴ」
の意味である。ブドウとともに有史前からの古い果樹で、
日本へ渡来したのは10世紀ごろといわれている。
しかし、日本においては果実は副次的に利用されたにすぎず、
もっぱら観賞樹木としての用途に重点が置かれたようで、
江戸時代の園芸書にも花ザクロに関しては多くの記述があるが、
果樹としての品種には見るべきものがない。
一般的には一重の赤花で結実するものを実ザクロ、
雄しべが弁化して八重となったもの、
あるいは一重でも花色の変わったものを花ザクロと称しているが、
もちろん特定の種を指すものではない。
ザクロ科は、ザクロ属のみからなる単型科であり、
ミソハギ科やハマザクロ科との類縁関係が指摘されており、
ともにフトモモ目にまとめられている。
[ 引用 : 園芸植物大事典
( 塚本洋太郎総監修:小学館発行 )、
花の名前(植村猶行監修:NHK出版)]
【追記】
ザクロ科は、APGⅡ
でミソハギ科(フトモモ目)に統合された。
これによりザクロ科は、 APG
分類体系では使われない科となった。
日本ではザクロは観賞用が主であり、
栽植されているものには園芸品種が多くある。
一枚目(右上)は、花色が白色であるため園芸品種であるが、
園芸品種名は特定できない。
二枚目(左上)は、八重咲きが美しい、園芸品種の「葉絞り」
(P. granatum
cv. Hashibori )のようである。
三枚目(左中)は、果実であるが、
本種が実ザクロの果実かどうかは判別できない。
四枚目(最下段)も園芸品種と思われるが、園芸品種名は特定できない。