ゴーヤ(沖縄地方の方言)
ニガウリ(苦瓜)
ウ リ
モモルディカ(ニガウリ)
Momordica charantia
モモルディカ・カランティア
Bitter cucumber , La-kwa ,
Bitter gourd , Balsam pear
東インド又は熱帯アジア原産
蔓性一年草
ニガウリは、東インド又は熱帯アジア原産の蔓性一年草である。
日本へは慶長年間(1596~1615年)以前に観賞用として導入されている。
和名については論議も残されるが、
栽培や用途の歴史をたどると国の内外を問わず、
観賞用または小形種にはツルレイシが使用され、
果菜として利用される長大種にはニガウリまたは
同様な意味を示す名前が使用されている。
レイシの名は熱帯果樹のレイシのようにいぼがあるためにつけられ、
混同を防ぐためにツルレイシとよばれるようになったが、
薬用にされる菌類の霊芝(れいし)も一般化しており、まぎらわしく、
また学問的にも実用的にも意にかなった名前とはなっていない。
したがって、野菜として見る場合は根拠の明確な
ニガウリを用いるのが今後は妥当であろう。
本種は熱帯では多年草となるが、
日本においては一年草のつる植物である。
葉は掌状に5~9裂し、互生する。
花は黄色で、雌雄同株で、着果習性はほかのウリ類と同じで、
単日で雌花が増加するが、節成性を示す系統もある。
果実は長さ15㎝程度のずんぐり型から50㎝近い細長のものまであり、
果色も濃緑色から黄緑色、白緑色まであり、
いぼも細くとがったものから、滑らかで太いもの、
太く連なっているものなど多種多様である。
本種は、ビタミンC含有は系統により異なるが、
100g当たり80~250㎎ときわめて高く、ミネラルの含有も比較的高く、
また苦味の主成分のモモルディシンは解熱、駆虫、
利尿など数多くの薬効があるため、
東南アジアを中心とする熱帯地域の重要な果菜となっている。
日本においては西日本、主として九州南部の宮崎以南に多く、
とくに沖縄においてはゴーヤ(苦いウリの意味)と称され、非常に多く
生産され、夏場にもっとも需要の多い果菜となっている。
ニガウリの栽培品種には、果長が40㎝内外の細長タイプには
「沖縄青長」、「宮崎青長」、「沖縄白長」があり、
20㎝内外のやや中太のタイプには「沖縄青中長」、「沖縄白中長」
がある。国内で栽培される大半の系統はそのいずれかに類似するが、
近年の傾向として一般的に濃緑で苦味の少ない中長の肉厚の系統が
好まれるようになっている。
なお、ご存じの通りニガウリは、流通名では「ゴーヤ」
と呼ばれているが、ゴーヤは沖縄地方の方言であり、
栽培品種の多くが沖縄産であることから広まったと考えられる。
なお、ニガウリとゴーヤを別物として扱う説もあるが、
ここではニガウリはニガウリ属の植物で和名の「ツルレイシ」を指し、
ゴーヤはニガウリ属の栽培品種の一つとして扱い、共に同じ属の植物として、
「ゴーヤ」はニガウリの栽培品種の一つとして扱うこととした。
ニガウリ属には約35種があり、そのうち食用になるのは2種で、
とくに野菜として利用されているのは本種だけである。
つる性の一年草あるいは多年草または低木で、熱帯アジア、
アフリカに分布し、一部の種は野菜として栽培されている。
日本でもツルレイシ(ニガウリ)は野菜として栽培され、
未熟果を漬物にしたり、油でいためたりして食用に供されている。
また果実が完熟すると自然に裂開し、赤い果肉をもつ種子が露出するが、
この赤い肉は甘く食用になる。
葉は互生し、単葉で全縁または分裂縁、あるいは掌状複葉である。
花は黄色または白色で、雌雄同株または異株である。雄花は単生する。
雌花は単生または円錐花序につく。
いずれも花冠は鐘形または車形で5深裂する。萼裂片は5個である。
雄しべは3個である。花柱は1個である。
[ 引用 : 園芸植物大事典
( 塚本洋太郎総監修:小学館発行 ) ]
三枚目(左上)は、果実が完熟し、自然に裂開し、
中の種子が露出している状態である。
種子は非常に粘り気のある膜でおおわれている。
なお、この赤い種子は果肉をもち甘く食用になる。