パンノキは、パンノキ属の1種で、果実を食用とする。
パンノキの果実は太平洋諸島では重要な炭水化物源となっており、
主食として利用されている。
この樹が20本あれば年中裕福に暮らせるといわれている。
16世紀にヨーロッパ人に知られるようになり、
18世紀になると奴隷の食料とするために西インド諸島へ導入することがもくろまれ、
太平洋への探検航海が行われた。バウンティー号の反乱は、
このパンノキ移送計画の途上で起こった事件として有名である。
ポリネシア原産の果樹でときに観賞用にも栽培される。
常緑高木で、高さ12~18mになる。樹のどの部位にも白い乳液が含まれている。
葉は革質で濃緑色で枝の先端に集合し、長さ23~60㎝で、
幅20~50㎝と大きく、欠刻状で切れ込みが深い。
湿潤地では常緑であるが、乾燥期のあるところでは落葉性となる。
花は単生雌雄同株で、雌・雄花とも小さな花が密生した花序を形成し、
それぞれの葉腋部に着生する。
雄花序は穂状で長さ15~25㎝で黄色である。
雌花序は頭状で楕円上で、長さ8~10㎝で緑色である。
集合果は球形または楕円形で、径10~25㎝で、
重さ1~4㎏で、果皮は黄緑色である。
無核果と有核果があり、無核果は果心の周囲に水分を含んだ
白黄色の特有の臭気を放つ果肉が詰まっており、食用にされる。
有核果はパンの実の木とよばれ、果肉はほとんどなく、
その種子が食用にされる。
種子は径2.5㎝で、1果に50~100個含まれている。
果実には水分75%、デンプン20%、タンパク質1%が含まれ、
食用としての価値が高い。
パンノキ属は、インド、マレーシア半島、
ポリネシアに多数分布し、数種が熱帯果樹として利用されている。
常緑高木ときに小高木で、葉は大きく、互生する。
花は単性で、雄花は棍棒状の穂状花序につく。
雌花は球状か楕円形の密な頭状花序につき、
花被は肉質の軸内に潜没し、先端に歯がある。
果実は集合果で大きい肉質塊となり、
種子を含むが、無種子の種類もある。
[ 引用 : 園芸植物大事典
( 塚本洋太郎総監修:小学館発行 )、
花の名前( 植村猶行監修:NHK出版 )]