ユ リ ➡ キジカクシに変更(APGⅢ)
ヒアキンツス(ヒアシンス)
Hyacinthus orientalis
ヒアキンツス・オリエンタリス
Common hyacinth
ギリシア、シリア、小アジアに分布
球根性多年草
ヒアシンスは、ギリシア、シリア、小アジアなどの
地中海沿岸地域に分布する球根性多年草である。
鱗茎をもち、春先に肉質で幅2㎝で長さ20㎝ほどの4~6個の葉を出し、
その根出葉の中心部から太い花茎を立てる。
4月に径3㎝くらいの漏斗状の花を多数総状につける。
花被は6裂し、裂片が開出して反転する。雄しべは6個あり、花筒中部につく。
果実は3稜形の蒴果で3室からなり、3弁で裂開する。
野生種の花色は青紫色であるが、桃、紅、白、黄色などの園芸品種がある。
球根は層状鱗茎である。母球は消耗することなしに残存肥大し、大球の場合は、
3年にわたって形成された鱗片で構成されており、外側は紙状の薄い外皮でおおわれている。
外皮の色は花色とほぼ同じ色をしているので、鱗茎を見ると花色がだいたいわかる。
16世紀にイタリアを経てヨーロッパに伝わり、
オランダを中心にして改良がされたダッチ・ヒアシンスと、
フランスで改良されたローマン・ヒアシンスとができた。
後者は丈夫でつくりやすいが、花も房も小さいので栽培は少なく、
ダッチ・ヒアシンスのほうが一般に普及して、とくに18世紀になり人気をよんだ。
日本に紹介されたのは江戸時代、安政年間(1854~60)であったが、
一般に栽培されるようになったのは大正時代(1912~26)に入ってからである。
ヒアシンスは、かって2000もの園芸品種があったといわれているが、花色の多様性だけで、
チューリップ属やスイセン属ほどには草姿や花形の変化がない。
これは野生種1種だけに由来し、種間雑種がつくられなかったためと思われる。
育種は他の球根類に比べると遅れており、19世紀に育成された園芸品種が現在もなお通用している。
球根生産の盛んなオランダでもコマーシャルベースにのっている園芸品種はせいぜい50品種くらいで、
八重咲き品種もあるが一般にはあまり人気がなく、ほとんど栽培されていない。
[ 引用 : 園芸植物大事典
( 塚本洋太郎総監修:小学館発行 ) ]
【追記】
ヒアシンス属は、APGⅡ でリユリ科から分離し、新設の
ヒアシンス科となったが、APGⅢ でキジカクシ(クサスギカズラ)科に統合され、
キジカクシ(クサスギカズラ)科(キジカクシ(クサスギカズラ)目)のツルボ亜科に変更になった。