ヒ ワ
バ ラ (サクラ亜科)
エリオボトリア( ビ ワ )
Eriobotrya japonica
エリオボトリア・ヤポニカ
Japanese loquat , loquat ,
Japanese medlar , Japanese pulm
日本、中国(浙江・四川・湖北省)原産
常緑高木
ビワは、ビワ属の1種で、果実を食用とする果樹である。
ビワは、日本、中国(浙江、四川、湖北省)原産で、高さ10m、
樹冠径7~8mに達する常緑高木である。
主幹となる中心枝は直立し、それ以外の枝は開張するので、
放任樹は半球状の樹形となる。
新梢は頂芽およびそれに続く数芽が叢状になって発生する。
花芽(分化期7月下旬~8月中旬)は、頂芽から新梢の先端に着生する。
葉は大形で短柄で長楕円形あるいは倒披針形で、8分の3の葉序で枝につく。
葉の表面は濃緑色で、光沢があり、裏面には淡褐色の軟毛が密生する。
花は白色で、11月中旬から翌年2月の長期間にわたって開花する。
1花序当たりの花の数はふつう60~70個、ときに200個以上になる。
雄しべは20個ある花柱の先端は5本に分かれる。子房は5室である。
果実は初夏に成熟する。果実は偽果で、
可食部は花床が肥厚したものである。果形は丸形か、
西洋ナシ形である。果皮は黄色で、毛茸(もうじ)におおわれ、
薄くむけやすい。
種子は大きく、赤褐色で5個以上含むものは果実が大きい。
ビワ属は、常緑の低木または高木で、
東アジアの亜熱帯~温帯南部にかけて約10種が分布する。
葉は単葉で互生し、先端が歯牙となる。羽状脈が著しい。
花は頂生の円錐花序につき、しばしば綿毛が生える。
宿存性の苞がある。
萼片、花弁ともに同数で5個あり、雄しべは約20個ある。
花柱は2~5個あるが、下部で合生する。
子房は下位で、各室に2個の胚珠がある。
果実はナシ状果で大形の種子を含み、先端に萼片が残存している。
【ビワの来歴】
ビワは、日本では、大分県本匠村、山口県秋芳町、
福井県大飯町などの各地で野生種が認められている。
果実としての利用は奈良時代(8世紀)にすでに見られているが、
栽培までにはいたっていなかった。
実生あるいは接ぎ木によって増殖され、盛んになったのは、
江戸時代末期の中国から大果品の種子が入ってからである。
とりわけ、天保・弘化年間(1830~1848)
に中国南部から長崎に伝えられたビワの実を、
三浦喜平次氏の妹が長崎通詞から入手して、
茂木の自宅に撒いた実生が今日の「茂木」である。
また、1879年(明治12)長崎での大果品の種子から、
「田中」が園芸家田中芳男氏によって東京で育成された。
現在の栽培品種は、この両品種(両品種で栽培面積全体の
95%以上占めている)および中国からの大果品の実生あるいは
交雑品種で、長崎を筆頭に、鹿児島、千葉、愛媛、香川、佐賀、
熊本、兵庫、高知の順で栽培されている。
なお、長崎県には大果品を「唐ビワ」、正円形のものを「ヒワ」、
楕円形のものを「ビワ」区別した名前が残っている。
[ 引用 : 園芸植物大事典
( 塚本洋太郎総監修:小学館発行 )、
花の名前( 植村猶行監修:NHK出版 )]