









フクシアとは、交雑種の園芸品種群を指し、落葉低木である。
F. fulgens
(F.フルゲンス)や
F. magellanica (F.マジェラニカ)
を中心に、いくつかの種を親にして交雑が繰り返され、
多くの園芸品種が生まれているが、
それらの園芸品種群をまとめて表記の学名でよんでいる。
フクシア属は、約100種からなり、
多くはメキシコからアルゼンチンのパタゴニアにかけて
アメリカ大陸と西インド諸島に、わずかにニュージーランドならびに
タヒチ島に分布する。
常緑または落葉の低木または小高木で、まれに
攀縁性(はんえんせい) である。
葉は単葉で、対生または互生あるいは輪生する。
花は葉腋に単生または叢生するか、
茎頂に総状あるいは円錐花序につき、多くの場合垂れ下がる。
萼筒は鐘状もしくは筒状で萼片は4個で反り返ることが多い。
花弁はふつう4枚だが、まれに退化消失することがある。
雄しべは8個で、しばしば花冠より突出する。
子房は下位である。花柱は1個で長く、花冠より突出する。
果実は液果で、細かい種子を含む。
【フクシアの交雑種】
F. × hybrida
としてまとめられる本属の交雑種作出の最初の記録は1825年であるが、
初期の交雑品種は花色の主体が赤や紫であまり変化がなかった。
1842年、萼が白色となる最初の園芸品種がイギリスで偶発実生から見い出され、
その後、交雑親として広く使われている。
最初の八重咲き品種もイギリスで1850年ごろに育成されている。
このように本属の育種は、まずイギリスで盛んに行われ、
次いでフランス、ドイツと、そして現在ではアメリカや
オランダでも行われている。
フクシアの花は下垂するものが多いが、四枚目(左)は、
花が上向きに咲く珍しい品種である。
浜名湖花博覧会で写したものである。
【フクシアの園芸的分類】
フクシアは現在までに6000種類もの園芸品種が紹介されているが、
残念なことに品種名が混乱していたり、
また園芸品種そのものが消失するなどで、
今日栽培されているものは2000品種ほどである。
日本へも数多くの園芸品種が導入されている。
園芸品種数が多く、確認が困難なために、
次のような形質によって園芸的な分類が行われている。
① 交雑親による分類
② 花形により、一重咲き、八重咲き、半八重咲きなどに分類
③ 花序により、単生品種と房咲き品種に分類
④ 花の大きさにより、極小輪、小輪、中輪、大輪と分類
⑤ 葉斑により、葉に斑が入ったものを斑入り品種と分類
⑥ 樹形により、立性、下垂性、叢生と低木性に分類
⑦ 耐寒性により、露地栽培できものを露地用品種と分類
[ 引用 : 園芸植物大事典 ( 塚本洋太郎総監修:小学館発行 )、 花の名前( 植村猶行監修:NHK出版 )]