スロージョギング時の消費カロリー及び脂肪消費量
スロージョギング時の消費カロリー及び脂肪消費量について、
METs (メッツ)値に基ずく計算方法を記載しました。
下の計算例の求め方を、「その1~6」で説明していますので、一読して見て下さい。
「その6」では、最も脂肪が多く消費される走り方も説明もしています。
➡ その6 へ

スロージョギング時の消費カロリー及び脂肪消費量について、
METs (メッツ)値に基ずく計算方法を記載しました。
下の計算例の求め方を、「その1~6」で説明していますので、一読して見て下さい。
「その6」では、最も脂肪が多く消費される走り方も説明もしています。
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消費カロリーを述べるうえでまず把握しておくことが必要な消費カロリーに、基礎代謝量
(BMR:basal metabolic rate)と安静時代謝量
(REE:resting energy expenditure)があります。
基礎代謝量は皆さんもご存じのとおり、人間が生命を維持してい上で最低限必要な1日の
カロリー量であり、年齢、体重、肥満度などにより変化しますが、その求め方は、ハリス・
ベネディクト方程式(改良版)が一般的であったが、この方法は、若い人の誤差が大きいこと
などから、国立健康・栄養研究所が以下の計算式を発表し、最近はこの式が一般的になっているようです。
基礎代謝量[kcal] = ( 0.1238 + 0.0481 × 体重[㎏] + 0.0234 × 身長[㎝]
- 0.0138 × 年齢[歳] - 0.5473 × 性別) × 1000 ÷ 4.186
(性別は、男性=1、女性=2)
【計算例】
体重が 66 [kg]、身長が 167 [㎝]、年齢が 60 [歳] 、男性の場合の1日当りの基礎代謝量
基礎代謝量 =(0.1238+0.0481×66+0.0234×167-0.0138×60-0.5473×1)×1000÷4.186 = 1393.0 ≒ 1390[kcal/日]
体重が 54 [kg]、身長が 155 [㎝]、年齢が 60 [歳] 、女性の場合の1日当りの基礎代謝量
基礎代謝量 =(0.1238+0.0481×54+0.0234×155-0.0138×60-0.5473×2)×1000÷4.186 = 1057.2 ≒ 1060[kcal/日]
基礎代謝量に対し、安静時代謝量は、より生活に近い代謝量であり、正確には色々な条件が有りますが、
簡単に言うと椅子に座って静かにしている時の代謝量と考えて差支えないと思います。
そして、その安静時代謝量は、一般的には基礎代謝量の1.2倍とされています。
今後、運動時の消費カロリーを扱っていくに当たり基本となるのが1時間当りの消費カロリーであり、
前述の計算例の基礎代謝量と安静時代謝量を1時間当りに換算すると次の通りとなります。
男性の基礎代謝量は、1393÷24≒58[kcal/h]、安静時代謝量は、1393÷24×1.2≒70[kcal/h]
女性の基礎代謝量は、1057÷24≒44[kcal/h]、安静時代謝量は、1057÷24×1.2≒53[kcal/h]
人間が普通の行動を含む運動を行った場合に、その運動によってどのくらいのカロリーを
消費したかを計算するうえで一般的に用いられている計算方法の一つに、 METs
( Medical Evangelism Training & Strategies または
Metabolic equivalents:メッツ)
値という係数を用いて計算する方法が有ります。
METs 値は、
運動をした時にその運動による消費カロリーが、安静時代謝量(以後、安静時消費カロリーと表記する)の
何倍の消費カロリーになるかを表した数値です。
例えば、時速 6.5 [㎞] でスロージョギングをした場合、安静時の何倍のカロリーを消費するかと言えば、
約 6.16 倍となり METs 値も 6.16 となります。なお、
METs 値は、係数であり単位はありません。
従って、前述の60歳男性が時速 6.5 [㎞] でスロージョギングを1時間実施した場合、
安静時消費カロリーは 69.7 [kcal/h] であり、
69.7 × 6.16 × 1 = 429 [kcal]
を消費することになります。
なお、 METs 値は、安静時の何倍の消費カロリーかを表す数値であり、
この男性がランニングをしたことによる増加した消費カロリーは、
安静時の代謝量を差し引いた、429 - 69.7 = 359 [kcal] であり、
私は運動による消費カロリーはこちらの値のほうがより適切ではないかと考えています。
それでは、 METs
値を用いた運動による消費カロリーの計算をしてみましょう。
まず、 METs
値を用いた一般的な消費カロリー計算式は下記の通り比較的簡単な計算式です。
消費カロリー[kcal] = 1.05[kcal/kg/h] × 体重[kg] ×
METs値 × 運動時間[h]
上の式は人間が安静にしていた時に呼吸でどれだけの酸素を取り入れ、
それを元にどれだけのエネルギーを消費するかから求められており、
一般的に1時間当たりの安静時消費カロリーが体重の1.05倍になることから求められた式である。
しかし、安静時に酸素を取り入れる量には個人差があるが、上式はその点を考慮していないため、
ここでは安静時消費カロリーは、身長・体重・年齢・性別を考慮した「その1」
の国立健康・栄養研究所の式から求めた値を使うこととした。その式が次の式である。
消費カロリー[kcal] = METs値 ×
運動時間[h] × 安静時消費カロリー[kcal/h]
でも、この計算式では METs 値がわからないと計算できません。
では、 METs 値はどうしたら求められるのでしょうか。?
METs 値は、国立研究開発法人:国立健康・栄養研究所が日本語版(PDF)
「身体活動のメッツ( METs )表」を発表していますので、詳しい値を見たい方は
ここ
をクリックして28ページ目を見て下さい。
上記の METs 表から時速 4~23 [km/h]
の範囲でジョギングやランニングをした場合の METs
値をプロットし、6次近似曲線を引いたものが次のグラフです。
上のグラフは、時速 4~23 [km/h] の広範囲の METs
値が求めら全体を見るには都合が良いですが、
数式が6次式のため計算が大変で今一歩使いにくいため、時速 0~23 [km/h]
の範囲を 4 個のブロックに分け、それぞれを 2 ないし 3 次近似曲線で表し、
METs 表のプロット点に近い近似値を求めるようにしました。
それが次のグラフです。グラフの中の計算式変更時速とは、
その時速の前後で計算式を変更する時速をいいます。
なお、時速 4 [km/h] 未満は想定値ですので、そのつもりで見て下さい。
計算式根拠となった4ブロックそれぞれのグラフは末尾の「その7:参考資料」から見て下さい。
ここで、 METs
値を使わなくても計算できないかと考えた結果が下記の計算式です。
普通、スロージョギングで走った時間は何分と「分」単位で測っていますので、
運動時間を時間から分に換算すると、
運動時間[h] = 運動時間[分] ÷ 60[分/h] ですので、計算式は
消費カロリー[kcal] = METs 値 ×
運動時間[分] ÷ 60 × 安静時消費カロリー[kcal/h] となります。
時速 4.85~7.85[km/h] の範囲の METs 値は、上のグラフから
METs 値 = -0.045367 × 時速[km/h]3 +
0.895446 × 時速[km/h]2 - 4.314348 × 時速[km/h] + 8.830635 であり、
計算式は次の通りとなります。
消費カロリー[kcal] = ( -0.045367 × 時速[km/h]3 +
0.895446 × 時速[km/h]2 - 4.314348 × 時速[km/h] + 8.830635 ) ×
運動時間[分] ÷ 60 × 安静時消費カロリー[kcal/h]
これで METs 値がわからなくても計算できます。
冒頭の【計算例】もこの計算式で求めいます。
参考に時速 7.85~14.82 [km/h] 時の消費カロリー[kcal]は、
同じように上のグラフの METs 値計算式から、
消費カロリー[kcal] = ( 0.013878 × 時速[km/h]3 -
0.495846 × 時速[km/h]2 + 6.430487 × 時速[km/h] - 18.440256 ) ×
運動時間[分] ÷ 60 × 安静時消費カロリー[kcal/h] となります。
さらに、時速 14.82~23 [km/h] 時の消費カロリー[kcal]は、
消費カロリー[kcal] = ( 0.004221 × 時速[km/h]3 -
0.201938 × 時速[km/h]2 + 4.323379 × 時速[km/h] - 20.331059 ) ×
運動時間[分] ÷ 60 × 安静時消費カロリー[kcal/h] となります。
ところで、皆さんにはスロージョギングには、消費カロリーがわかる万歩計が良いと装備の所で述べましたが、
万歩計はほとんどのものがウォーキングを想定して作られていますので、歩数による消費カロリーは、
スロージョギングをした場合より約20~30%程度低く表示されますので注意して下さい。
先にも述べた通り「消費カロリー … その3: METs
値を用いた消費カロリー計算」は、安静時消費カロリーを含んだ消費カロリーですので、
運動したことにより増加した消費カロリーは、安静時消費カロリーを差し引いたものとなります。
ここでは、この消費カロリーから安静時消費カロリーを差し引いた値を
「増分消費カロリー」と呼ぶことにしました。
つまり、実質運動したことによる消費した増分消費カロリーは、 METs 値を
〔 METs - 1 〕とする必要があります。
したがって、 METs 値を用いた増分消費カロリー計算式は次の通りです。
増分消費カロリー[kcal] = ( METs 値 - 1 )×
運動時間[h] × 安静時消費カロリー[kcal/h] となります。
また、安静時消費カロリー[kcal/h] =
(消費カロリー[kcal] - 増分消費カロリー[kcal]) ÷ 運動時間[h] となります。
【初めに】
消費カロリーを語る上でどうしても触れておかなければならないのが脂肪消費量です。
しかし、色々と調べたところ、運動をした時の消費カロリーは比較的簡単な計算式で表せますが、
その消費カロリーでどれだけの脂肪が燃焼するのかは簡単な計算式では表せないようである。
でも、何とか表せないものかと色々と調査した結果、次の結果に達しました。
人間が生命を維持したり、色々な行動をしたり、種々の運動をした時にエネルギーを消費し、
それを消費カロリーという形で表わしますが、では、その消費カロリー、つまりエネルギーは
どのようにして作り出されているのでしょうか。
人間がエネルギーを得るのは結構複雑で、私の知識でここに簡単に述べることは困難なため、
ここでは主なエネルギー源の糖質と脂質を燃焼させることでエネルギーを得ていることとします。
しかし、この糖質と脂質がどのような比率で使われているかという点で色々な見解が有り、
消費カロリーから脂肪消費量に換算する時になかなか一筋縄でいかないところです。
とはいっても、何とかそれなりに一つの算出式を求めたいと思い次の計算式に落ち着きました。
【計算に当っての前提条件】
〖前提条件-その1〗
まず、一つ目として、脂肪が燃焼してエネルギーになるには、その人の運動時の酸素摂取量に大きく関係し、
その酸素摂取量は心拍数に比例します。したがって、心拍数が最大の時(最大心拍数という)酸素摂取量も最大となるが、
その最大心拍数は、年齢とともに低下し、〔 最大心拍数 = 206.9 - ( 0.67 × 年齢 ) 〕(出典:EPSON Wristable GPS)とされています。
最大心拍数は、色々な求め方がありますが、ここでは上記を採用することとしました。
〖前提条件-その2〗
二つ目として、最大酸素摂取量(最大心拍数)の時の時速として、次の表を参考とすることとしました。
(出典:公益財団法人横浜市体育協会横浜市スポーツ医科学センター)
人は最大酸素摂取量(最大心拍数)の時、時速何㎞で走れるかは上記の表の通り、その人の運動能力によってかなり大きな差があります。
上表は、右上がりの斜線の最高点の丸の部分が、各人の最大酸素摂取量とそれに対する時速を表しています。
上表では一般的な成人は、最大酸素摂取量約 42 [ ml/kg/min ]、走速度 200 [ m/min ]、
男性市民ランナーレベルは、最大酸素摂取量約 58 [ ml/kg/min ]、280 [ m/min ]、
時速に換算してそれぞれ「12 [km/h]」、「16.8 [km/h]」とその差が大きく、
どちらを採用しても一長一短があるため、その中間の最大酸素摂取量約 50 [ ml/kg/min ]、
走速度 240 [ m/min ]、時速に換算して「最大時速 14.4 [km/h]」を採用することとしました。
従来は「最大時速 18 [km/h]」を使っており、この値は男性市民ランナーレベル以上の値でしたので、
スロージョギングをするような方にはあまり適切ではありませんでした。
〖前提条件-その3〗
三つ目として、脂肪消費率を求める運動時の糖質・脂質寄与度を次の表を用いることとしました。
(出典:Astrand P,Rodahl K 著、朝比奈一男監訳、浅野克己訳:運動生理学)
この表の横軸は運動強度となっていますが、ここでは運動強度を時速に読み替えて計算することとし、
20歳では運動強度 100 [%]が時速 14.4 [km/h]で、
運動強度 0 [%] が安静状態(時速 0 [km/h])である。
上記の表は、運動強度に対する糖質・脂肪寄与度が幅を持っていますが、
ここでは幅の中間点の値を使うことし、運動強度 100 [%]では 3.28 [%]としました。
なお、上表では運動強度 0 [%] の寄与度が表されていないため、
運動強度 0 [%]の脂肪消費率は一般的に言われている 70 [%]とし、
運動強度 0 ~ 15 [%]は想定値とした。
以上のことを踏まえ、時速 0 [km/h] の時の脂肪消費率を 70 [%]、
年齢 20 [歳] の人の時速 14.4 [km/h] の脂肪消費率を 3.28 [%]としました。
〖前提条件-その4〗
運動時における糖質と脂肪の寄与度が、
運動強度に対してどのくらいの比率になるかを求めます。
ここで、運動強度とは、各人の最大酸素摂取量(最大心拍数)に対する
運動時の酸素摂取量(平均心拍数)です。
しかし、各人の最大酸素摂取量(最大心拍数)と運動時の酸素摂取量(平均心拍数)は、
簡単には求められません。
そのため、私の経験から、心拍数がほぼ時速に比例することから、
運動強度を時速で表すこととしました。
〖前提条件-その5〗
ここで一つ難題にぶつかりました。それは年齢に対する補正値を何から求めるかである。
従来は、補正値は最大心拍数から求めていました。
しかし、「前提条件-その2」のグラフから最大時速は最大酸素摂取量により決まります。
したがって、年齢による補正値は、年齢別最大酸素摂取量から求めることとしました。
活動量計メーカのガーミンが標準の最大酸素摂取量は、20歳代で 41.7 [ ml/kg/min ]、
60歳代で 32.3 [ ml/kg/min ] としており、この変化は直線的に変化するとしています。
このことから、年齢が 20歳から1歳増すごとに〔 (( 41.7 - 32.3 ) ÷ 40 ) = 0.235 [ ml/kg/min ] 〕
減ることになり、パーセント換算すると〔 0.235 ÷ 41.7 × 100 = 0.56355 [%]〕低下することとなります。
この値を「年齢補正値[倍]」と呼ぶこととしました。
したがって、60 [歳] の人の年齢補正値[倍]は、
〔年齢補正値[倍] = ( 100 - 0.56355 × ( 60 - 20 )) ÷ 100 = 0.775 [倍]〕となり、
最大時速もそれに比例するものとし、
〔 最大時速 14.4 × 0.775 = 11.15 [km/h] 〕
において、脂肪消費率を 3.28 [%] としました。
〖前提条件-その6〗
ここで、先でも述べましたが、「前提条件-その3」の運動時の糖質・脂肪寄与度は運動強度に対しての値であり、
運動強度を求める必要があります。
運動強度は、〔 運動強度[%] = 最大酸素摂取量[ml/kg/min] ÷ 運動時酸素摂取量[ml/kg/min] × 100 〕
で求められますが、運動時の運動時酸素摂取量[ml/kg/min]は簡単には求められません。
そこで、大前提として、酸素摂取量と時速は比例するものとし、
〔 運動強度[%] = 最大時速[km/h] ÷ 運動時時速[km/h] × 100 〕としました。
〖前提条件-まとめ〗
あれこれと書きましたが、以上の関係をグラフで表すと次のグラフになります。
つまり、年齢 60 歳の人が運動をした時は、消費カロリーのうち、
時速 6 [km/h] では 44 [%]、時速 8 [km/h] では 30 [%]、
時速 9 [km/h] では 18 [%] の消費カロリーが、
脂肪を燃焼させて得られるカロリーです。
これは激しい運動をする時は、すぐにエネルギーになり易い糖質が使われ、
脂肪は一度遊離脂肪酸という形に分解さないと燃焼しないため、
ゆっくりした有酸素運動をした時に燃焼し易いという特徴からです。
なお、上表は時速 0 ~ 15 [%]、 15 ~ 75 [%]、 75 [%]以上を、次の式から求めている。
時速 0 ~ 15 [%]( 20 歳では 0 ~ 2.16 [km/h]、 60 歳では 0 ~ 1.673 [km/h] )
〔 脂肪消費率[%] = -0.01067 × 運動強度[%]3 + 0.38 × 運動強度[%]2 - 4.63333 × 運動強度[%] + 70 〕
時速 15 ~ 75 [%]( 20 歳では 2.16 ~ 10.8 [km/h]、 60 歳では 1.673 ~ 8.3655 [km/h] )
〔 脂肪消費率[%] = -0.0002065 × 運動強度[%]3 + 0.0172933 × 運動強度[%]2 - 0.5267943 × 運動強度[%] + 54.82234 〕
時速 75 [%]以上( 20 歳では 10.8 [km/h]以上、 60 歳では 8.3655 [km/h]以上 )
〔 脂肪消費率[%] = -0.0002522 × 運動強度[%]3 + 0.091026 × 運動強度[%]2 - 10.9975116 × 運動強度[%] + 444.9713 〕
ただし、運動強度[%] = 時速[km/h] ÷ 最大時速[km/h] × 100
なお、上記グラフには参考として、修正前の値を点線で併記してあります。
今回の修正で、脂肪消費率は、20歳・60歳ともに全時速帯で修正前より低い値となります。
【増分脂肪消費量】
消費カロリーから脂肪消費量を求めるに当たって、
脂肪は安静時でも消費されており、運動したことによって増加する脂肪消費量は、
消費カロリーから求めた脂肪消費量から
安静時の脂肪消費量を差し引いた値を求めるのが適切であると考え、
運動により増加した脂肪消費量を「
増分脂肪消費量」として求めることとしました。
しかし、ここで増分脂肪消費量の求め方を説明するに当たって一番説明しにくいのが、
増分脂肪消費量は年齢によって変化するということです。
さらに、脂肪消費率は時速に反比例しますが、
その計算式は3次式で表されるということです。
この二つを加味した概念を表したのが上のグラフです。
そして、さらに計算を複雑にしているのが、
METs 値を求める計算式が
時速 4.85 [km/h] 、時速 7.85 [km/h]、 14.82 [km/h] で変化することです。
ここで断っておきますが、複雑そうに見える計算ですが、
これをエクセル等で計算するのはさほど難しいことではありません。
難しいのは文章で説明することが難しいだけです。
【計算方法】
では、計算方法を順を追って説明します。
① 入力距離[km]・運動時間[分] から時速[km/h] を求めます。
② 時速[km/h] から METs 値を求めます。
③ 入力身長[cm]・体重[kg]・年齢[歳]・性別から基礎代謝量[kcal/日]・[kcal/h]を求めます。
④ 基礎代謝量[kcal/日]・[kcal/h]を1.2倍して安静時消費カロリー[kcal/日]・[kcal/h]を求めます。
⑤ 安静時消費カロリー[kcal/h]と安静時の脂肪消費率70[%]から安静時脂肪消費量[g/h]を求めます。
⑥ METs 値、運動時間[分]、安静時消費カロリー[kcal/h]から運動時の
消費カロリー[kcal] 、増分消費カロリー[kcal]を求めます。
⑦ 入力年齢[歳]から最大酸素摂取量[ml/kg/min]、年齢補正値[倍] を求めます。
⑧ 入力年齢[歳]、年齢補正値[倍]から最大時速[km/h] を求めます。
⑨ 最大時速[km/h]、運動時時速[km/h]から運動強度[%] を求めます。
⑩ 運動強度[%]から脂肪消費率[%] を求めます。
⑪ 消費カロリー[kcal]、脂肪消費率[%] 、安静時脂肪消費量[g/h]から
脂肪消費量[g] 、増分脂肪消費量[g] を求めます。
これで計算は終わりです。思ったより簡単です。
【計算結果より】
ここで、この計算結果から、次のことが言えます。
METs 値は、時速が 4.85~7.85 [km/h] の範囲では、
時速が1[km/h] 増加するごとに最大 1.58 増加しますが、時速が 7.85~14.82 [km/h] の範囲では、
時速が1[km/h] 増加するごとに最低 0.53 しか増加しません。そして、時速が 14.82~18 [km/h]
では平均 1.14 増加します。これを [%] に換算するとそれぞれ 7.0 [%]、2.3 [%]、5.0 [%] になります。
従って、増分消費カロリーも同じように増加します。
それに対し、脂肪消費率は 20 歳で時速が 9 [km/h] あたりから急激に減少します。
したがって、時速が 7.85~14.82 [km/h] の範囲において、 METs 値の増加より、
脂肪消費率の低下のほうが大きくなり、時速が増加しても脂肪消費量および増分脂肪消費量は逆に減少する結果となります。
以上のことから、ダイエットを目的としたジョギングを一定時間走る場合に効率よく脂肪を消費するためには、
20 [歳] 代の人は時速 8.6 [km/h] 前後で走るのが効果的と言えます。
いきなりこのページにジャンプされた方は、聞きなれない言葉がたくさん出てくると思いますが、
詳しく知りたい方は、右下の Return Pagetop ボタンで
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1つだけ「増分脂肪消費量」を説明しておきます。「増分脂肪消費量」とは、
運動した時に消費した脂肪量から、運動した時間と同じ時間安静にしていたとして
消費した脂肪量を差し引いた脂肪消費量をいいます。
人は安静にしている時でも、消費カロリーの 70 [%]は脂肪が燃焼して得られるカロリーであり、
私は、運動したことにより増加する脂肪消費量は、運動時の脂肪消費量から安静時の脂肪消費量を
差し引いた値を使う方が適切と考え、その値を
「増分脂肪消費量」と呼ぶこととしています。
【時速に対する増分脂肪消費量】
まず、次のグラフを見て下さい。
20 [歳] と 60 [歳] の男性・女性が任意の時速で1時間走った時の増分脂肪消費量のグラフです。
なお、2018年1月現在の日本の平均身長・平均体重から
20 [歳] 男性は、身長 172 [cm]、体重 66 [kg]、女性は、身長 160 [cm]、体重 54 [kg]、
60 [歳] 男性は、身長 167 [cm]、体重 66 [kg]、女性は、身長 155 [cm]、体重 54 [kg]
として計算しています。
では、このグラフから何がわかるのでしょうか。? それは次のことです。
今日は1時間走ると決めたら、上のグラフから、20歳の人は時速 8.6 [km/h] 前後で、
60歳の人は時速 7.2 [km/h] 前後で走った時に1時間運動時増分脂肪消費量が最も大きくなります。
最も大きい増分脂肪消費量の時速は、年齢が増すとともに低下することとなります。
上のグラフは、1時間運動した時の増分脂肪消費量ですので、
運動時間が2時間になれば、上のグラフから求めた値を2倍した量となります。
次に言えることは、年齢と性別により安静時消費カロリーが異なり、
その違いにより増分脂肪消費量も増減します。
つまり、年齢が増すにつれて安静時消費カロリーが減る分、
増分脂肪消費量も減少します。
そして、男女の差は女性の方が安静時消費カロリーが低い分、同じように運動しても
消費される脂肪の量も少なくなります。
個別に最大値を見ると、20歳男性の時速 8.6 [km/h] の増分脂肪消費量 32.4 [g/h] に対し
20歳女性では最大で 25.4 [g/h] と 20歳男性の 78 [%]
60歳男性では最大で 19.4 [g/h] と 20歳男性の 60 [%]
60歳女性では最大で 14.7 [g/h] と 20歳男性の 45 [%] しか、
1時間のジョギングをしても脂肪は消費されません。
このことから最大の脂肪消費量となる運動をしても年齢が増すほど、
また男性より女性の方が脂肪の消費量が少なくなり、痩せにくくなります。
そして、その差は20歳男性に対し、60歳女性では同じように運動しても
何と約5割弱の脂肪しか消費できません。
ここでの各人の差がかなり大きくなっていますが、
これは年齢差が最も大きく、次に体重差が大きく影響しています。
【時速に対する増分脂肪消費量追加説明】
時速に対し増分脂肪消費量が、なぜ上記のような山形のカーブになるか
もう少し詳しく説明します。
( 注:今までは「増分脂肪消費量」で説明してきました。
しかし、以下の説明は、脂肪消費率との関係がよくわかる「脂肪消費量」で説明します。)
まず下のグラフを見て下さい。
横軸はもちろん時速です。そして、縦軸は左に「消費脂肪係数[%]」と
「脂肪消費率[%]」を、右は「 METs値」です。
ここで、初めて「消費脂肪係数」という言葉が初めて出てきました。
20歳の男性(身長172 [cm]、体重66 [kg])が時速 8.6 [km/h]で、
1時間走った時の最大脂肪消費量は39.9 [g]です。
この39.9[g] を 100 [%] とし、
各速度および60歳の男性の脂肪消費量をパーセントで表しものを、
「脂肪消費係数」と呼ぶこととしました。
もう一度、脂肪消費量は何から求めたかを思い出して下さい。
そうです。 〔 脂肪消費量[g] = 消費カロリー[kcal] ×
脂肪消費率[%] ÷ 100[%] ÷ 7.2[kcal/g] 〕でした。
消費カロリーは、 METs値に比例しますので、
時速に対して上のグラフの METs値と同じように、
時速が増すにしたがって増加します。
そして、脂肪消費率は上のグラフのように、
時速が増すにつれて低下し、ある時速でゼロになります。
この2つのカーブを掛け合わせた結果の消費脂肪係数は、
グラフの緑色カーブ(60歳は濃赤カーブ)のような山形になります。
これは、 METs値がほぼ直線的に増加するのに対し、
脂肪消費率は低時速では、あまり変化しませんが、ある時速から急激に低下し、ゼロになります。
したがって、脂肪消費率があまり変化しない低時速では、消費脂肪係数は
METs値に合わせて増加しますが、ある時速以上では
METs値の増加より脂肪消費率の低下の方が大きくなり、
消費脂肪係数は急激に低下し、脂肪消費率が 0[%] で消費脂肪係数も 0[%] となります。
そして、このブラフから、年齢が増すと低時速で脂肪消費率の低下が始まるため、
消費脂肪係数も低時速で低下に転じ、
最大値も 60 歳では 20 歳の 73 [%] にしか達しません。
【年齢別脂肪消費量 MAX時速】
脂肪消費量の MAX
となる時速が年齢により変化することを前述しましたが、
では、あなたの年齢で脂肪消費量が MAX
となる時速はどのくらいかを簡単に知りたくなりますよネ。
上のグラフが各年齢に対する MAX
時速を表したものです。
グラフからも求められると思いますが、計算する場合は、
MAX
時速 [㎞/h] = 9.3 - 0.035 × 年齢[歳] で、求められます。
皆さん、消費する脂肪が MAX
となる時速が、意外と低い時速だと思いませんか。
20 [歳]の方で、時速 8.6 [㎞/h]は、1[㎞]を約 7[分]で走ればいいことになり、
この程度の時速でのジョギングはあまり負担にならないと思います。
私の今までの見地で求めた「時速に対する脂肪消費率」を用いるとこのような結果となり、
ダイエットを目的としたジョギングをするにはあまり早く走る必要は無いことが言えます。
しかし、私のような高齢者で、あまり運動経験が無い人には、この値は非常に良く合致しており、
それなりに速い時速です。
【まとめ】
ということで、スロージョギング時の増分消費カロリー[kcal]と増分脂肪消費量[g]を求めるには、
走った人の身長[cm]、体重[kg]、年齢[歳]、性別、走った距離[km]、
運動時間[分]がわかれば計算できるということになります。
そして、同じ時間走った場合、20歳では時速 8.6 [km/h]
前後で、60歳では時速 7.2 [km/h] 前後のスピードで走った時が最も脂肪の消費量が多くなり、
効率的に脂肪を燃焼させるには、過激な運動をするより時速 8.6 [km/h] 前後
(年齢が 20 [歳]から1[歳]増すごとに 0.035 [km/h] 低速になる)
でのジョギングが効果的といえます。
ただし、脂肪消費量は時速に対する脂肪消費率[%] に大きく左右されるため、
任意の時速に対する適切な脂肪消費率[%]がわかることが一番大切なこととなります。
今後も適切な脂肪消費率[%] について、調べていきたいと考えいます。
【おまけ】
しかし、ここで一番把握しにくいのが走った距離です。
走った距離を知る方法は色々有りますが、私は主に次の2つで測っています。
一つ目が、万歩計で歩数を測り、歩数に1歩の歩幅を掛けて距離を求める方法です。
この方法は、歩幅を把握するのが難しいことと、
スロージョギング中歩幅が一定でないことによる誤差が出ることです。
また、歩幅が5㎝ずれただけでも10000歩走ると500mもの誤差が出てしまうことです。
もう一つの方法が、コースを走る前または走った後で地図により距離を求める方法です。
最近はインターネットで地図から距離を求めることはそんなに難しいことではなくなりました。
私は、初めは万歩計から距離を求めていましたが、最近は地図から求めています。
やはり、地図からのほうが正確な距離がわかり、時速も正確になり、
コンディションで時速が変わる様子が良くわかります。
なお、最近は、活動量計やスマホなどで走った距離がわかるものが出ているようであり、
便利になったものです。
以下に、 METs 値を求めるために使った相関図を記載しておきます。
なお、この相関図は NIO が前述の「身体活動のメッツ(
METs )表」からスロージョギング用に
必要な部分を相関図にしたものであり、あくまで目安としていただきたい。
また、ランニングをする人にも使ってもらえるように、時速 23[km/h] まで求められるようにしました。
① 時速--0.00
~_23.00
[km/h] を全体図としてまとめたグラフ :
時速・
METs 値相関(0~23)
② 時速--0.00
~--4.85
[km/h] のグラフ:
時速(
--0
~--4
[km/h])・ METs
値相関(想定値)
③ 時速--4.85
~--7.85
[km/h] のグラフ:
時速(
--4
~--8
[km/h])・ METs 値相関
④ 時速--7.85
~-14.82
[km/h] のグラフ:
時速(
--8
~-15
[km/h])・ METs 値相関
⑤ 時速-14.82
~-23.00
[km/h] のグラフ:
時速(
-15
~-23
[km/h])・ METs 値相関
本説明文に於けるカッコの使い方について補足しておきます。
① 計算式に於けるカッコは、小カッコ( )、中カッコ{ }、
大カッコ[ ] の区別はせず、全て小カッコ( )のみとしました。
② 単位は、大カッコ[ ] を使用することとしました。
③ その他のカッコとして、説明文を見やすくするため、( )、
【 】、〖 〗、〔 〕、「 」を適宜使用しました。