サフランは、本来は薬用、染料あるいは香料としての
サフランを得るために栽培されていたが、
観賞用にも用いられるようになり、
花そのものもサフランと呼ばれるようになった。
サフランは、自生のサフラン・クロッカスとして、
アテネ周辺に生育していた
Crocus cartwrightianus
から選抜されたものと考えられ、
この種が花柱の分枝が葯より短いのに対し、
本種は花はより大きく、花柱は葯より長く突出して下垂する。
葉は10枚以上と多く、開花時に伸長して開花後に著しく伸びる。
花は大きく有香で淡紫色である。11月初旬に開花する。
花糸は白色で、葯は黄色である。花柱は3裂して鮮血赤色をし、
この部分よりサフランを得る。
名前に「サフラン」とつく
イヌサフラン があるが、
サフランより劣るという意味からイヌサフランといわれているようである。
かってサフランとは、
Crocus sativus
の花柱枝を集めて乾燥させたものを指したが、
後には花そのものもサフランと呼ばれるようになった。
1オンス(約30g)の乾燥花柱枝を得るのに
4300もの花が必要でたいへん高価で、しかも薬品、
香料、薬味、染料など多目的に使われる重要な商品であった。
語源がアラビア語で黄色を意味するザファランと
言われることかもわかるように、
古くから衣料を染めるのため、
また料理の色や香り付けに用いられた。
カレーの黄色はもともとサフランによるもので、
ウコンでつけられるようになったのは
安価な代用品が探し求められた結果である。
リウマチ、痛風、天然痘に効く薬とされ、
後には船酔い防止、安産のまじないにも用いられた。
[ 引用 : 園芸植物大事典
( 塚本洋太郎総監修:小学館発行 ) 、
花の名前(植村猶行監修:NHK出版)]
本属の仲間は、 クロッカス を掲載している。