タイセツトリカブトは、北海道の大雪山系の高山の草地などに分布する多年草である。
名前の通り、北海道の大雪山のみで見られる固有種である。
背丈は30~70㎝で、茎は直立しほとんど枝分かれしない。
中葉は5深裂し、裂片は更に切れ込んで、終裂片は線状披針形で質は薄い。
花柄と雌しべに横向きのまっすぐな毛が生えている。
エゾトリカブト、エゾノホソバトリカブトの花柄の毛は湾曲していることで見分けられる。
開花時期は、7~8月である。
画像(右上)は、こまさんが、次のコメントをつけて、
私に送ってくれたものである。
『 私も山へ行って来ました。
ロープウェィとリフトを乗りついてお手軽登山です。
7合目から1時間30分で1984mまで登れます。
黒岳の花は「タイセツトリカブト」 と 「
イワギョウ 」です。』
本属の仲間は、
トリカブト を掲載している。
トリカブト属は、北半球の暖帯~寒帯に広く分布する多年草、
まれに一年雄で、約300種からなり、そのうち30種が日本に自生する。
多年草は宿存性の地下茎をもつか、新芽をつけた塊根をもち、
後者は冬に地上部は根ごと枯れてしまうが、塊根(子根)が残って
翌春に新しい植物体をつくる。
茎は直立、ほふく、またはややつる性である。葉は根出または互生で、
単葉で掌状あるいは鳥足状に浅~全裂し、裂片の縁は
欠刻状か鋸歯状となる。
花は両性で左右相称で総状、散房状、
円錐状の花序につき、ときに茎頂に単生する。
花で目立つのは着色した5個の花弁状萼片でかぶと状の
1個の頂萼片と2個の側萼片、2個の下萼片からなり、青紫色、淡黄色、
淡紅紫色まれに白色である。
花弁は2枚で、ふつう密腺化して頂萼片の内側に位置して
「イ」の字形を呈し先端は舷部と距に分化している。
雄しべは多数あるが、外側に位置するいくつかは仮雄ずいとなる。
雌しべは3または5個、あるいはそれ以上ある。
子房は上位で花柱は宿存性である。果実は袋果である。
種子は多く種子には横ひだか狭い翼がある。
本属ははなはだ変異性に富み、分類の困難な属として知られている。
また、本属の植物の根には、ジテルペン系のアルカロイドを含むものが多く、
古来、有毒植物として有名である。
しかし、薬効作用もある。
ところでこれらの毒は、矢毒として多用されたが、
獲物の体内に入った有毒成分は加水分解により無毒化するので、
肉は食べられる。
花が美しいので花壇や切り花に用いられるものがある。
[ 引用 : 園芸植物大事典
( 塚本洋太郎総監修:小学館発行 ) ]