アカナス(赤茄子)
ナ ス
リコペルシコン(トマト)
Lycopersicon esculentum
リコペルシコン・エスクレンツム
Tomato , Gold apple , Love apple
アンデス地方原産
多年草、栽培上は一年草
トマトは、トマト属の1種で、果実を野菜として利用する。
トマトは、アンデス地方原産の多年草であるが、
温帯では一年草として栽培されている。
草丈は3mほどになるが、初め直立し、後にほふくする。
葉は長さ45㎝くらいの羽状複葉で、小葉は5~9個で、
長さ7~8㎝になり、縁は巻いたりしわがよることが多い。
花序は3~30花からなり、葉より短い。
花冠は径約2.5㎝である。
果実はふつう赤色であるが、まれに黄橙色となり、
大きさは5~10㎝がふつうである。果実は、
扁球形で切れ込みや溝をもつものがある。
トマトは、日本へは18世紀初めオランダ人がもたらしたといわえている。
貝原益軒氏の『大和本草』(1708年)に唐ガキの名で記載されているのが
日本における最初の文献であり、中国と同じく鑑賞に用いたというから
明治以前には食用に供されなかったようである。
明治初年あらためて開拓使によって輸入され、
現在の新宿御苑での試作を経て国内に広まった。
当時発刊された『西洋蔬菜栽培法』には、
蕃柿にアカナストマトとかなが振られていた。
栽培が始まったのは19世紀末ころからで、
当時のトマトはヨーロッパ系の中・小形の赤色品種で特有のトマト臭が強く、
酸味もかなりあるところから日本人には親しみがないものであり、
農家ではアカナスといって珍しがられた。
後に日本のトマト生産地として名をとどろかせた愛知県へは、
1899年(明治32)に知多郡の蟹江一太郎氏が加工用トマトを、
1902年(明治35)に渥美郡の中島駒次氏が温室トマトの栽培に手がけたとされる。
その後栽培が一般化したのは20世紀に入り、
アメリカから桃色大果品種が導入されてからである。
これはヨーロッパ系の赤色品種に比べてトマト臭、酸味ともに少なく、
むしろ甘味さえ感じられるところから日本人のトマト観が一変し、
トマトは桃色に限るとしてこれが全国各地に広まっていった。
その後も幾多の変遷を経て今日ではハウス育苗が育苗法の主力となった。
トマト属は、約7種からなり、太平洋諸国、南アメリカ、
ガラパゴス諸島に分布する。ふつう多年草で刺はない。
茎は弱く、しばしば腺状の乳頭状突起を有する。
葉は羽状複葉となるか羽状に裂け、裂片はふぞろいで縁は歯状となる。
花は腋生の集散花序につく。萼はふつう5裂する。
花冠は黄色で車形で、通常5深裂する。
雄しべはふつう5個あり全て稔性をもつ。
2室からなる葯は花柱のまわりに集まり、縦裂開するが、
先端に花粉をいれない細長い突起が発達する。葯隔は肥厚しない。
果実は液果で2室あまりからなるが、
培品種では多室のものが見られる。果色は赤、ときに黄色である。
[ 引用 : 園芸植物大事典
( 塚本洋太郎総監修:小学館発行 )、
花の名前( 植村猶行監修:NHK出版 )]
本種の変種に
ミニトマト がある。