ハナキンポウゲ(花金鳳花)
キンポウゲ
ラヌンクルス(キンポウゲ)
Ranunculus asiaticus
ラヌンクルス・アシアティクス
Persian uttercup , Garden ranunculus
ヨーロッパ南東部~西アジア原産
多年草
ラナンキュラスは、ヨーロッパ南東部~西アジア原産の多年草である。
小さな塊根をつくる球根植物で、トルコ、シリア、イランなど中近東から
ヨーロッパ東南部にかけていわゆる地中海性気候型の地に生息する。
秋植え球根に属し、秋から春にかけて生育し、夏の高温期は休眠する。
葉は2~3回3出複葉で、裂片は鋸歯をもつか、あるいは3深裂する。
4~5月に1つの塊根から1~複数個の花茎を伸長させ、
各花茎に数輪の花をつける。
花色は豊富で、赤、緋、桃、橙、黄および白色などがある。
現在多く栽培されている園芸品種は、ヴィクトリア・ストレイン、
ドリスなどであるが、これらは従来の園芸品種であるトルコ系、
ペルシア系、フレンチ系、ピオニー系をもとにオランダ
およびアメリカで改良された園芸品種がさらに
日本で改良されたものである。
花弁の重ねが厚く、花径が10㎝前後の大輪で、花柄も太い。
近年は草丈の短い矮性の園芸品種の育成も進んでいる。
キンポウゲ属は、約500種あり、全世界に分布するが、
熱帯の低地には例外的な種類しか生育していない。
多年草または一・二年草である。多くは根出葉を叢生し、
ひげ根を生じる。
根茎や塊茎または塊根などをもつものが少なくない。
葉はふつう長い葉柄があり、基部は鞘状になる。
葉身はいろいろな形のものがある。
鋸歯または欠刻のある数個の裂片に中、
深裂し心臓形の基部をもつものが多いが、倒卵形で上部で浅裂し、
円形ないし楔形の基部をもつものや、
さらに狭くなり披針形で先に鋸歯があるもの、
ついには線形で全縁のものにいたる系列が見られる。
葉の分裂が強くなり、3出ないし羽状の複葉になるものも少なくない。
ふつう春から夏にかけて地上に茎を伸ばして花をつける。
茎は直立し分枝して茎葉をつけるものから、
分枝せず茎葉をつけず先端に1個の花をつけるもの、
また、ほふく性のものなどがある。
花は放射相称で両性で異花被花(萼片と花弁の区別があるもの)である。
花床は突出し、球形ないし楕円形でしばしば毛が生える。
萼片は5または3個で緑色でかたく
ふつう毛が生え保護花序となって蕾のとき花の内の部分を包む。
花弁は5枚またはより多くふつう萼片より大きく、
薄くて光沢があり着色する。
黄色がもっとも多いが、白色、赤色、青紫色のものもある。
花弁の内側の下方にふつう1個の密腺がある。密腺の部分はへこんでいるもの、
袋状になっているもの、または小片でおおわれているものなどいろいろある。
雄しべは多数である。雌しべも多数で多くは歪んだ卵形ないし
長卵形で先は細まり柱頭をつける。
雌しべ内には斜上し、1枚の珠皮をもつ胚珠が1個ある。
果実は痩果で、集まって球形ないし楕円形の果球となる。
全世界に分布しているが、北半球の暖帯以北にはとくに多く、
日本でもウマノアシガタなどは春の野に咲く花として親しまれ、
タガラシ、キツネノボタンなどは、もっともふつうな水田雑草であり、
ミヤマキンポウゲなどはもっともふつうの高山植物である。
種類が多く、花が美しいわりにはいわゆるラナンキュラスの群を除いて
あまり栽培されない。
ラヌンクリンを含み、毒草とみなされているものは多いが、
薬用植物として有用なものはない。
[ 引用 : 園芸植物大事典
( 塚本洋太郎総監修:小学館発行 )、
花の名前( 植村猶行監修:NHK出版 )]
本属の仲間は、
バイカモ 、
タガラシ 、
ラナンキュラス・ゴールド・コイン 、
ラヌンクルス・フェカリア
などを掲載している。