【植物について】
地球上の物質は、大きく分けると生物と無生物に分類される。
その生物は、「修正六界説(1998年:キャバリエ=スミス)」では、「細菌界」「原生動物界」「クロミスタ界」「菌界」「動物界」「植物界」に分類される。その植物界の分類について、簡単な説明は以下の通りである。
【植物界の分類】
1 分類方法の進化
植物の分類を初めて体系化したのは、「分類学の父」とも称される「カール・フォン・リンネ(Carl von Linne)」であろうと言われている。リンネの時代の分類は、植物の形態を元にした形態分類であった。
その後、「アドルフ・エングラー(Adolf Engler)」が提唱した「エングラー体系」を元に、1953年及び1964年に「ハンス・メルヒオール」らが提唱した「新エングラー体系」が主流となった。
さらに、「被子植物」の分類について、「アーサー・クロンキスト(Arthur Cronquist)」が1981年、1988年に提唱した「クロンキスト体系」が、被子植物の分類として支持されるようになり、20世紀の教育にはこの2つの体系が使われている。
近年は、1990年代以降にDNA解析による分子統計学が大きく発展するようになると、植物の分類にも大きな変化が表れ、このDNA解析の手法を用いた植物の分類体系が主流になりつつある。特に、被子植物の分岐を調査する研究は近年飛躍的に進み、新しい知見としては APG (Angiosperm Phylogeny Group)に集約されており、学術先端分野ではすでにAPGの体系に移行し、クロンキスト体系は歴史的体系として扱われている。
APG分類体系の初版は、1998年に公表されたが、固有の名称はなく当初は APG system などと呼ばれ、現在では区別のため APG Ⅰと呼ばれている。APG はその後も研究が進められ、2003年に第二版が、2009年に第三版が発表され、それぞれ APG Ⅱ、APG Ⅲと呼ばれている。
現在では、2016年に発表された APG Ⅳ が最新版となっており、従来から使われていた「網」「亜網」等の分類階級は無くなり、被子植物は、64の「目」と416の「科」によって構成されている。その「目」までの体系図が これである。
なお、本図鑑では416科の内、159科(38.2%)の植物を掲載している。
2 本図鑑での取り扱い
本図鑑では、塚本洋太郎氏総監修の「園芸植物大事典」を参考にしているため、「裸子植物(裸子植物門)」については、「新エングラー体系」を、「被子植物(被子植物門)」については、「クロンキスト体系」を主に採用しているが、「APG Ⅳ」を元にした「目」と「科」からの検索と、 APG 体系で変更になった「科名」への修正をわかる範囲で実施した。