シンビディウム属は、インド、東南アジア、中国、日本のほか、
ニューギニアやオーストラリアにも分布している常緑多年草である。
本属は、スウェーデンのスヴァルツ氏により1799年設立され、
現在約70種がある。
植生状態が多様で、着生から半着生または半地生、
地生、腐生まであり、種によって異なる。
偽鱗茎(ぎりんけい:下記注参照)は紡錘形ないし卵形で、
その基部に根とよく発達した腋芽を生じる。
偽鱗茎の上・中位部は茎の大半をなし、
節間が短く肥厚し、多肉質である。
ここから3~10個の葉を互生してつける。
葉は約3年間生存し、細長く線形で革質で直立または弓状に曲がる。
葉の先端は中肋を中心にして左右不整で、小さく2裂し、
鈍頭または鋭頭である。根は太くひも状で1年以上生長を続ける。
花序は偽鱗茎の基部にある腋芽から生じ、一般に着生種では下垂状、
半着生種と半地生種では斜出状または湾曲状、地生種では直立状となる。
1花茎にふつう5~20花をつけ、萼片と側花片は長楕円形でほぼ同形同色で、
側弁化がやや小さい傾向がある。
唇弁は3裂片からなり、2つの側裂片は蕊柱に沿ってほぼ直立し、
中央裂片は蕊柱の先端部から前半部分でやや幅が広く展開し、
同時に下方に屈曲する。
唇弁の中央には2本の黄色の隆起線(キール)があり、
中央裂片の前半部には紫紅色の斑紋や条線などが入り、
種によって特徴のある模様を彩る。
蕊柱は細長く、先端部で幅が広くなる。蕊柱の横断面は三角形で、
その先端は鈍頭で下面の左右両端は鋭頭でひだ状をなす。
蕊柱の先端上部には白色の葯帽がり、その中に黄色の2個の花粉塊がある。
蕊柱の先端下部はくぼみ、粘性があり柱頭となる。
[ 引用 : 園芸植物大事典
( 塚本洋太郎総監修:小学館発行 )、
花の名前( 植村猶行監修:NHK出版 )]
本属の仲間は、
シュンラン
が掲載してある。
ラン科については、
ラ ン
を参照のこと。