ナシ属は、ユーラシア大陸、北アフリカの温帯、暖帯に数十種が分布し、
日本にもいくつかの野生種が報告されている。
落葉まれに攀常緑の高木または低木で、小枝は針になることがる。
葉は有柄で互生し、多くは鋸歯を有し托葉がある。
花は両性で散房状花序につきふつう白色で多くは短枝につく。
花弁、萼片はともに同数で5個あり、
萼片は果実に宿存する場合としない場合がある。
雄しべは20~30個である。
花柱は3~5個あるが、基部で合生する。子房は下位で、
花床に包まれ、花柱と同数の心室からなり、各室に2個の胚珠を含む。
果実は梨状果で食用とする部分は肥大した花床である。
果皮下と果芯部に石細胞群を有する。種子は黒色で光沢がある。
世界の主要果樹のひとつで、おもに果樹として広く栽培されているが、
春出葉のころ咲く花が豊富で美しいので、
欧米では観賞用
にも栽培されている。
一・二枚目(右上・左上)は、 Junko さんが、私に送ってくれたものである。
本属の仲間は、
マメナシ 、
ヨウナシ
を掲載している。
【栽培品種群の来歴】
ナシには、大きく分けて、日本梨、西洋梨、
中国梨の3つに分けられるが、ここでは日本梨のみを記する。
日本における梨の栽培は『日本書紀』の持統天皇の章に、
五穀の消費節約と救荒のために、クリとともにナシが栽植されたことが
記されていることから、かなり古くから栽植されていたことがうかがわれる。
江戸時代には各地で栽培が盛んに行われ、江戸時代末期から
明治時代に前半には各栽培地ともに栽培品種が明らかにされており、
とくに明治30年代のものは現在まで残っているものがある。
1907年(明治40)ごろから豊産性でしかも耐病性の強い
「長十郎」が全国的に栽培され、それまで栽培されてきた江戸時代~明治前半
の栽培品種が駆逐された。
さらに大正時代から「二十世紀」の栽培が増加し、
1965年(昭和40)ごろまで二十世紀・長十郎の2大品種の時代が続いた。
1965年ごろから大正時代に菊池秋雄氏により育成された
「菊水」「八雲」などを母本として、農林省が育成した新品種「新水」「幸水」
「豊水」がそれまでの長十郎に代わって栽培されるようになり、今日にいたっている。
[ 引用 : 園芸植物大事典
( 塚本洋太郎総監修:小学館発行 )、
花の名前( 植村猶行監修:NHK出版 )]