セリニンジン(芹人参)、
ナニンジン(菜人参)、ハタニンジン(畑人参)
セ リ
ダウクス(ニンジン)
Daucus carota var. sativus
ダウクス・カロタ(変種)サティウス
Carrot
アフガニスタン原産
一・二年草
ニンジンは、ニンジン属の1種から生まれた栽培植物で、
多肉根を野菜として利用する。
人参は、栽培植物で、高さ50~100㎝になる。
主根は肥大しいわゆる橙色の多肉根となり、
長さ4~100㎝であるが、ふつうは15~25㎝である。
この多肉根は、胚の幼根と胚軸が肥大したもので、
表面に存在する目(皮目)から不定根(側根)を出す。
内部は厚い肉質部と木質部、形成層と髄(芯部)からなり、
肉質部が重さで全体の70~85%を占めている。
葉は、根の肩部に生じる冠部とよばれる茎から叢生し、
細裂した小羽片には、栽培品種によって、幅の狭い小葉、
幅の広い大葉、その中間形などが見られる。
やわらかい茎葉は食用になる。
花茎の中部から上部につく葉は三角形である。
開花時期は春から秋で、花序には総苞と小総苞がある。
花数は多く、1花序当り20~150の小花序をつけ、
1小花序には20~70花つく。花は5花弁を有し、ふつうは両性である。
三枚目(左)は、みずがめ座さんが、「野菜のお花」のタイトルで、
つぎのコメントをつけて、私に送ってくれたものである。
『 猫の額のような畑ですが、夏野菜が収穫できるように
なりました。
キュウリ は毎日のように採れるので
食べ切れません。今日はきゅうり、
水ナス 、
ズッキーニが採れましたよ。人参は2本だけ残して花を
咲かせました。私の身長くらい伸びてたくさんの花を
付けています。押し花にとても貴重な花材なんですよ。』
【ニンジンの来歴】
アフガニスタンのヒマラヤ、ヒンズークシ山麓を一次発生の中枢とし、
マキヴィックはアフガニスタンの野生種を報告している。
これは後に東洋系とされたもので、濃紫色、
紅紫色やアントクロールを含有し、黄色、橙黄色などの変異が多い。
このアフガニスタン・ニンジンはイラン、バビロニア、
ナバテアを伝わりヨーロッパに広がった。
アフガニスタン・ニンジンがそのままヨーロッパに導入されたものか、
アナトリアの南西部で交雑してからかは明らかでないが、
アフガニスタン・ニンジンについては
10世紀ごろからヨーロッパ各地に栽培の記録が残っている。
洋種系の黄色ニンジンの導入経過は不明で、
16世紀ころからアフガニスタン・ニンジンに代わって栽培が増加している。
アフガニスタン・ニンジンは元の時代にイランから胡(西域)
を経て、雲南から華北に入り中国東北地方、華中、華南から福州におよび、
日本に導入されて、京都、大阪や天竜川流域、博多などで栽培が多かった。
洋種系ニンジンについては、1787年の「長崎聞見録」に、
五寸系と三寸系の栽培があったことが記録されている。
さらに明治以降も導入された。東洋系が注だい性から暖地を中心に栽培されたのに、
洋種系は寒地から暖地まで広く各地に栽培される。
[ 引用 : 園芸植物大事典
( 塚本洋太郎総監修:小学館発行 ) ]