ナ ス
ソラヌム( ナ ス )
Solanum melongena
ソラヌム・メロンゲナ
Egg plant , Aubergine , Mad apple ,
Brinjal , Jew's apple , Melongene
インド原産
熱帯では多年草、温帯では一年草扱い
ナスは、ナス属の1種で、日本で古くから栽培され、果実が野菜として利用される。
ナスは、インド原産の熱帯では多年草として、温帯では一年草として栽培さる。
茎はよく分枝して、小低木状となる。草姿には大別して立性と開張性のものがある。
前者は分枝が比較的少なく、丈高に伸長し、後者は分枝が多く、丈が低いが横に広がる。
茎の色は日本の栽培品種では光沢のある黒紫色であるが、緑色あるいは緑紫色のものもある。
葉色は暗緑紫色あるいは鮮緑色で、葉柄は茎と同色であり、鋭い刺をもつものもある。
花は淡紫色または白色で花冠は5~8裂し、両性花である。
果実は液果で、球状、卵状、長卵状または長形で、果色は黒紫色、
鮮紫色、緑色、白色まれに淡緑色に濃緑や紫の斑のものもある。
ナスはインドで多くの変異が見られることから、
インド原産と考えられている。
また、東南インドに自生するものを原種とする説もある。
しかし、これら両種の分類学的位置づけは必ずしも明確でないといわれ、
はっきりとしたことは不明である。
サンスクリットの文献に名前がしばしば見えることから、
インドで栽培が始まったのは古いと考えられるが、時代は明確でない。
ナスは、中国へは紀元前5せいきには伝播しており、
そこで多く変異が生じた。日本では東大寺正倉院文書の記録が最初である。
アラビア地方では5世紀に記録があり、
古く東西に伝播していたことがわかる。
ヨーロッパに知られたのは13世紀であるが、
17世紀までは広く知られることはなかった。
日本へ中国からナスが渡来して以来、少なくとも
1200年以上の栽培歴史をもち、各地でそれぞれの気候と嗜好に合ったものが定着し、
品種分化が進んだ。
1950年のナス在来品種の調査では、約150品種が存在した。
日本のナスは果形から、「丸、小丸、卵、中長、長、大長」
に分けられるのがふつうである。
ナス属は、世界の熱帯から温帯にかけて広く分布し、
1700種ほどが知られ、とくに南アメリカに多い。
草本または低木、ときに小高木となり、茎はふつう直立するが、
蔓状になることもある。ときに刺があり、しばしば星状毛が生える。
葉は互生し、多くは単葉で全縁または鋸歯縁で、
ときに羽状に深裂し、または複葉となる。
花は単生、束生、あるいは集散花序、散房状花序をなし、
葉腋(まれに茎頂)、茎の途中、または葉と対生するようにつく。
萼はふつう広鐘形で4~10裂し、多くは5裂する。
花冠は車形または鐘形で、花筒は短く先は5裂し、
裂片は蕾のときは扇だたみ状にたたまる。
雄しべはふつう5個で、花冠裂片と互生して花筒につき、
花糸は太くて短い。
葯は2室で花柱を取り巻いて互いに接し、ふつう孔裂開する。
子房は2室でまれに3~4室になり、花柱は糸状である。
果実は液果で球形、楕円形、
ときに長楕円形で扁平でゆがんだ円形の種子を多数含む。
アルカロイドを含むために有毒植物が多いが、
食用となるものもあり、ジャガイモやナス、ペピーノなどが重要である。
花や果実が美しい観賞植物も多い。
[ 引用 : 園芸植物大事典
( 塚本洋太郎総監修:小学館発行 )、
花の名前( 植村猶行監修:NHK出版 )]
本属の仲間は、
イヌホウズキ 、
ジャガイモ 、
ソラヌム 、
タマゴナス 、
ツルハナナス 、
フォックスフェース 、
フユザンゴ 、
ルリヤナギ 、
ワルナスビ
など、多くの品種を掲載している。