レモンは、ミカン属の1種で、果実が食用とされる果樹である。
レモンは、シトロンとともにインド北東部の
ヒマラヤ山系の原産の常緑低木である。
インドにはレモンとシトロンの自然交雑種が多い。
樹勢は強く、枝は立ちぎみである。
枝に刺の有するものが多い。
葉は披針形で短い翼葉をもつ。
花は総状花序で四季なり性を原則とするが、
単生する場合も多い。
雌しべの発達が不十分で不稔性である。
花弁の一部や新梢の先端部は紫色を呈する。
種子は少なく、白色単胚性である。
5~6月にかけて開花し、10~12月にかけて収穫する。
レモンの果実は、大きさを基準にして収穫し、
貯蔵中に果面の緑色を抜く。
収穫直後の果実は果皮の水分含有量が高く、
傷がつきやすいのでキュアリングが必要である。
キュアリングとは、貯蔵温度を13~16℃、
相対湿度を75~80%に保つと果皮中の水分が減少し、
クロロフィル(葉緑素)も分解され、
果面が黄色となることである。
最近ではエチレンガスを流して、
クロロフィルの分解をはやめることも多くなった。
キュアリングの終わった果実は外観が黄色で美しく
長距離輸送に耐えるようになる。
果実は芳香に富み、輪切りにして紅茶に入れたり、
魚や肉の料理にも添えられる。
また、缶詰の濃縮レモネードとしての需要もある。
清涼飲料にも添加されて消費が伸びている。
加工の副産物として、クエン酸、ペクチン、
レモン精油などがあり、レモンの利用範囲は広い。
レモンは、12世紀の半ばに、アラブ人によって
インドから北アメリカを経てスペインに伝えられたものや、
十字軍がパレスチナから
イタリアの伝えたものなどがもとになって、
地中海沿岸諸国とくにイタリアのシシリー島で栽培が盛んとなった。
また、コロンブスの新大陸発見とともに、
レモンが新大陸に伝えられ、カルフォルニアでとくに栽培が広まった。
冬期温暖で、夏期乾燥する気候風土のもとで良品を産する。
[ 引用 : 園芸植物大事典
( 塚本洋太郎総監修:小学館発行 ) ]
ミカン属については、
ミカン を参照のこと。
本属の仲間は、
ミカン 、
ナツミカン 、
シークワーサー 、
ブシュカン
などを掲載している。