トウガキ(唐柿)、ナンバンガキ(南蛮柿)
ク ワ
フィクス(イチジク)
Ficus carica
フィクス・カリカ
Fig tree , Common fig
アラビア半島南部原産
半耐寒性落葉半高木
イチジクは、樹高3~6mに達する。葉は掌状に3~5烈し、 肉質で大きい。茎や葉を傷つけると白乳汁を出す。
春から夏にかけて葉腋の短柄上に倒卵状球形で厚い壁をもった花嚢
(かのう:一般にイチジクの実といわれているもの)を生じる。
花嚢の外側は平滑で緑色、内側に小さな花を生ずる。
花は、雌雄異花で淡紅白色を呈し、同一の花嚢内に雌花と雄花がある。
通常、雄花は花嚢の先の部分に、雌花は付け根の方に着生する。
ただ、栽培品種の大部分は花嚢内に雌花のみをもつものが多い。
花後、花嚢は果嚢となり、厚い皮の内側や花軸が肉質(食べられる部分)
に変態したものであり、熟すると暗紫色になるが、
栽培品種には黄色、帯緑色、褐色、あるいは黒色などを呈するものもある。
イチジクの栽培の歴史は古く、その栽培品種は数百をこえるとされている。
明治以前の日本には、「唐柿」とよばれる在来品種のみが存在した。
明治以降になって、欧米より20~30品種が導入されて試作されたが、
日本の多湿条件に適するものは少なく、現在、経済栽培の
可能な品種は、2~3種に限られている。
なお、日本で栽培されているイチジクはすべて雌株で、
花粉が受粉しなくても果実が成熟する品種だそうである。
イチジク属は、両半球の熱帯から暖帯にわたって広く分布し、約800種がある。
常緑または落葉の高木または低木で、ときに着生植物として育つものもある。
また幹や枝から気根を出しながら分枝開張するものもあり、ベンガルボダイジュは有名である。
葉はふつう互生(まれに対生)し、全縁まれに鋸歯縁または分裂する。
花は雌雄同株まれに異株で、花床がくぼんで壺状になった花嚢(かのう)の内部につく。
花嚢は球形、楕円形、洋ナシ形で肉質で、基部にしばしば3個の苞がある。
雌雄異株の場合、雄花は雌花と混生するか、花嚢の先端の開口部付近に集まる。
雄花は花被が2~6裂し、雄しべ1~6個ある。
雌花は花被は小形である。いずれも花被は離生または合生する。
各花の間に苞があるものとないものがある。花後、花嚢は果嚢となり、多数の痩果を含む。
本属は、「アコウ亜属」、「ファルマコシケア亜属」、
「シコモルス亜属」、「イチジク亜属」の4亜属に分類される。
[ 引用 : 園芸植物大事典
( 塚本洋太郎総監修:小学館発行 ) ]
本属の仲間は、
イヌビワ 、
ガジュマル 、
インドボダイジュ 、
ベンガルボダイジュ
などを掲載している。