サンシキスミレ(三色菫)、
ユウチョウカ(游蝶花)、コチョウソウ(胡蝶草)
スミレ
ウィオラ(スミレ)
Viola × wittrockiana
ウィオラ・ヴィットロキアナ(交配)
Garden pansy
交配種の園芸品種群
多年草
パンジーは、数種の複雑な交配から生じたとされる園芸品種群である。
以下にパンジーの園芸品種の成り立ちを示す。
なお、 Viola (ウィオラ)
を V. と表す。
V. tricolor
(V.トリコロル)は古くよりイギリスを中心に園地で栽培され、
ハーツイーズとよばれて親しまれていた。
積極的な品種改良の努力が払われたのは1813年からで、
イギリスの園芸家トムソンにより選抜が始められ、
その結果1835年には400の園芸品種ができていたという。
トムソンの改良はさらに続き、やがてショウ・パンジー
( show pansy )
とよばれるものを完成する。花径は4㎝以上、
花弁は平滑で丸くブロッチ斑(花びらに入る濃色の斑点)
をもっており、おもに挿芽で維持された。
一方、ベルギーやフランスに渡ったものはさらに発達をとげ、
ファンシー・パンジー(
fancy pansy )とよばれるものとなった。
花はいっそう大きく、径5㎝以上あり、色彩の変化も多彩であった。
このころのパンジーは展示会などでの鑑賞が多かったが、
しだいに花壇での鑑賞に重点が置かれるようになり、
同時に種子増殖が普及してきた。
フランスのトリマルドは花壇植えに適した、
花色の美しいトリマルド系を完成し、
一方ドイツでは耐寒性の強いヒエマリス系が生まれた。
これらは中輪のパンジーの基盤をなして現在でも作られている。
20世紀になると大輪のスイス・ジャイアント系が登場する。
これらのパンジーの起源を詳しく調べたスウェーデンの
ヴィットロクによると、近代のガーデンパンジーの起源には
V. tricolor のほか
V. lutea (V.ルテア)、
V. cornuta (V.コルヌタ:和名ツノスミレ)、
V. altaica (V.アルタイカ)、
V. calcarata (V.カルカラタ)
などが交雑されたと考えられ、遺伝的にかなり複雑になっていることがわかった。
一方、 V. cornuta
の血を強く持った系統は、小輪ながら無数の株立ちとなって咲く
タフテット・パンジー(
tufted pansy )とよばれるグループをつくっている。
日本ではこれを小輪パンジー、あるいは
ウィオラ
と呼んだりしているが、最近ではさらに大輪系と交雑された
園芸品種がでてきたりして、区別が難しくなりつつある。
パンジーが日本にもたらされたのは1864年(元治1)
ころといわれている。三色スミレ、游蝶花、胡蝶花の名で親しまれていた。
戦後、東京近郊では荒川沿岸の鹿骨に多くのパンジー苗生産があり、
地堀り苗をトロ箱に詰めて、花壇苗用として市場や花店に出荷していた。
これは昭和30年代まで続いたがしだいに都市化の波に追われ、
現在では埼玉県、神奈川県などに移動している。
昭和40年代に入ると、種苗商社による育種努力が盛んになり、
世界的な1代交配種が次々と生まれるようになる。
戦後、アメリカでは大輪系パンジーの品種改良が盛んで、
メイプルリーフ・ジャイアント系、スティール・ジャンボ系、
あるいはオレゴン・ジャイアント系など花径が
10㎝におよぶ独特の巨大輪系が作り出されたが、
いずれも花色が中間色のくすんだものが多く、
株立ちにも欠点があって大勢を占めるにはいたらなかった。
1966年になると坂田種苗(現在のサカタのタネ)で育成された
1代交配品種のマジェスティック・ジャイアント系の白と混合色のものが、
オール・アメリカン・セクションズに入賞し、注目を集めた。
花径が10㎝を超える巨大輪で、しかも開花の早いのが特徴で、その後続いて
発表されたレッド、イエロー、ブルーなどのものとともに
1代交配種の優秀性を世界に認識させ、これを機にパンジーも1代交配種の
時代に入っていくことになる。
1975年(昭和50)にはタキイ種苗で育成された品種が、
引き続いてオール・アメリカン・セクションズに入賞した。
これら日本で生まれた巨大輪品種や、その後現れた「20世紀シリーズ」、
「ベッダシリーズ」といった中輪のF1パンジーが現在でも
諸外国に輸出されている。
最近はアメリカやヨーロッパでも盛んに1代交配品種が育成されているが、
過去にオール・アメリカン・セクションズに入賞した
パンジーの5品種のうち、4品種は日本で育成されたもので、
日本はパンジーの品種改良で世界をリードしているといえる。
[ 引用 : 園芸植物大事典
( 塚本洋太郎総監修:小学館発行 ) ]
ところで、四・五枚目(左上三・左最下段)のパンジーが、
顔に見えるのは私だけでしょうか?。
四枚目は、髭を生やしたおじさん顔に、五枚目は、どことなく怒った顔に見える。
本属の仲間は、
スミレ 、
タチツボスミレ 、
タスマニア・ビオラ 、
ビオラ 、
ビオラ・ブルースワール 、
ビオラ・ソロリア・プリンケアナ などを掲載している。