プリムラは、中国西部~チベット、ヒマラヤ、
ヨーロッパの北半球温帯に分布する多年草である。
サクラソウ属は、現在500種以上からなり、南アメリカ、
北アフリカ、ジャワなど南半球にごく一部の種が分布するのを除き、
ほとんど中国西部からチベット、ヒマラヤ、
ヨーロッパにかけて北半球の温帯に分布し、
日本には変種などを含めて20種類あまりが自生する。
大部分が高山植物の範疇に入り、温帯では1000mくらいの高原から
標高5000mくらいの氷河の周辺までが生育地帯で、
比較的湿度のある砂礫地から湿原を好んで生える。
一般に標高の高い場所に自生するものは太陽光線を好むが、
低山帯に自生するものほど、夏には陰地になる場所を好み、
谷間などに群落をつくっている。
多くの種が好石灰植物であり、とくに石灰岩地帯に自生する
アルプス産の種と雲南省産の種とに好石灰性が著しい。
しかし、いずれもアルカリ性土壌を好まず、栽培に際しては微酸性がよい。
ともあれこの属には観賞価値の高い種が多く、鉢植えや花壇、
ロックガーデンに植栽され、多くの人に楽しまれている。
サクラソウ属は、ふつう低性の多年草で耐寒性が強く根茎で越冬し、
早春から夏にかけて開花する。
葉はすべて根出し、有柄または無柄で卵形、倒卵形、楕円形、
長楕円形、披針形、へら形などとなり、全縁または掌状に浅裂し、
葉縁に歯牙があるものとないものがある。
葉間から花茎を伸ばし、その先に散形花序に花をつけるが、
花が数段に輪生したり、総状花序をなすものもある。
花色は白色、赤色、紫色、青色などがあり多彩である。
花は5数性である。
萼は鐘状または漏斗状である。花冠は高盆状か鐘状で5裂し、
裂片の先端は全縁かまたは2裂する。
雄しべは5個で花糸が短く、花筒部の花冠列片に対生する位置につく。
雌しべは1個で、花柱が子房の先端から細長く伸びる。
本属の植物は、株によって花柱の長さが異なり、雌・雄ずいの位置関係に個体差がある。
いわゆる異形ずい現象が見られ、花柱が長く柱頭が葯より上部にあるものをピン型、
逆に、花柱が短く柱頭が葯より下部にあるものをスラム型とよんで区別する。
同形花柱同士の交配は、異形花柱同士の交配に比べ結実率は低下する。
子房は上位で球形または卵形である。蒴果は球形または円柱形で、上部で5裂する。
葉の表面や花冠の一部、萼、花茎などに白色あるいは淡黄色の粉状物をつけるものが多い。
[ 引用 : 園芸植物大事典
( 塚本洋太郎総監修:小学館発行 )、
花の名前( 植村猶行監修:NHK出版 )]
プリムラ(サクラソウ)属の品種は、
P.ジュリアン 、
P.プラエニテンス 、
P.ポリアンタ 、
P.マラコイデス
などを掲載している。
プリムラ(サクラソウ)属の仲間は、
サクラソウ 、
クリンソウ 、
エゾコザクラ
などを掲載している。