マルバマンネングサは、本州~九州に自生し、山地の岩上、
石垣上に生える。常緑多年草で、小さなロゼットをつくり越冬する。
花茎は、基部が張って分枝し上方で斜上し、高さ8~20㎝になる。
葉は対生し、倒卵形~さじ形で長さ7~10㎝で幅3~6㎜で、先端は鋭形で基部は柄状になる。
開花時期は、6~7月である。花序には葉状の苞が目立つ。花は5数性でややまばらにつく。
萼裂片は広線形~さじ状線形でで長さ約2㎝でやや大小があり、先は円形である。
花弁は黄色で、針形~針状披針形で長さ4~5㎜で先は鋭形で花時には平開する。
雄しべは花弁よりもわずかに短い。裂開直前の葯は赤色である。密腺は広線形で乳白色である。
雌しべは長さ3~4㎜で子房は熟すと各心皮の腹側がふくれ斜開する。
種子は楕円形で長さ0.7㎜内外である。
種小名(種の形容詞)のマキノイは、日本の植物学者の牧野富太郎氏の名にちなむ。
マンネングサ属は、北半球の温帯から暖帯に広く分布し、
オーストラリアとポリネシアを除いて、北限はグリーンランド、
南はアフリカ中部におよび、約400種があるといわれている。
一般に岩礫地に生え、地理的な変異が大きい。
日本にも約17種と多数の亜種、変種が自生し、地理的な変異の大きいキリンソウ
などは産地名を付してテカリダケキリンソウ、エゾキリンソウなどとよばれることがある。
マンネングサ属は、多年草、一年草あるいは越年草で、
根茎はふつうないが、あっても近縁のイワベンケイ属のように鱗片葉はない。
葉は単葉で幅1.5㎝以上で無柄で全縁または不規則な鋸歯縁となり、
多くは互生するがときに輪生まれに対生するが、基部は互いに
合着することはない。
花は両性で長さ1㎝以下で頂生または側生の集散花序かまれに総状花序につき、
ふつう5数性であるが、まれに3,4,6数性となる。
花序には葉状の苞がある。花弁は萼片とともに離生するが、ときに基部のみ合着する。
花色は濃黄色、白色、紅色、青色などがある。
雄しべは花弁の2倍数あり、内外に2輪に配し、
外輪のものは花弁と対生し、内輪のものは花弁と互生する。
葯は花糸に底着し、裂開する前の葯は濃紅紫色か濃黄色である。
雌しべは花弁と同数あり、ふつう基部から下半分にかけて合着する。
子房の背側基部に密腺があり、腹側の一部がふくれるものは心皮が斜上し、
果時に袋果を上から見ると星状に見える。
[ 引用 : 園芸植物大事典
( 塚本洋太郎総監修:小学館発行 ) ]
本属の仲間は、
キリンソウ 、
マンネングサ 、
メキシコマンネングサ 、
モリムラマンネングサ
などを掲載している。
本属もまた判別が難しい属である。私の知識では、マンネングサ、
マルバマンネングサ、メキシコマンネングサ、
モリムラマンネングサの判別が適切でない可能性も十分にあり、
今後も引き続き明確な判別に近づけるようにしていきたい。