シロクジャクは、
一般にクジャクソウともよばれて流通しているが、
いずれも園芸名である。
日本への渡来時期ははっきりせず、
昭和36年の園芸カタログに「しろくじゃく」
の名前で載ったのが初出とされる。
学名的については諸説あり詳しいことは不明である。
ただ、従来の
A. tradescantii (A.トラデスカンティー)
や
A. ericoides (A.エリコイデス)
であるといわれていたが、
北アメリカ原産の多年草で日本にも帰化している、
キダチコンギク(木立紺菊)[
A. pilosus (A.ピロスス) ]
にたいへん類似している。
本種で栽培されているものは、耐寒性に富む多年草で、
草丈60~150㎝でで茎の下部は4ヶ月くらいで木質化する。
分枝は多く、長くて株立ちとなり、枝はしばしば弓状に曲がる。
頭花は径1.5㎝程度で辺花は白くてわずかに光沢を有する。
心花は黄色であるが、2裂する花柱が赤褐色を呈し、
目には黄色から赤褐色に変わる。
三枚目(左)の画像の右下のひとつの心花が赤褐色を呈しているのがわかる。
なお、一枚目(右上)と二・三枚目(左上・左)は、花の大きさが若干違うが、
二・三枚目は、花姿がキダチコンギクによく似ているため掲載した。
シロクジャクの色物として、赤花、青花、
桃赤花、青桃花などの園芸品種が作り出されている。
四・五枚目(左・左下)は、花姿はシロクジャクと同じであるが、
花色が青紫色のように見えるため、シロクジャクの園芸品種と思われる。
「クジャクソウ」という名が付く植物はたくさんある。
和名が「クジャクソウ」というのは、流通名が
「
フレンチ・マリゴールド 」のことである。
その他に、別名が「クジャクソウ」という植物には、
「
ハルシャギク 」、「クジャクシダ」がある。
シロクジャクも流通名を「クジャクソウ」といっているので、混同しないこと。
シオン属は北アメリカを中心に南アメリカ、アジア、ヨーロッパ、
アフリカの各地に250~500種が自生いしているといわれている。
ほとんどが多年草であるが、まれに一・二年草や低木状のものもある。
茎はときに花茎状となったり分枝する。
葉は互生して縁は全縁か歯状となる。頭花(頭状花序)は中形で、
単生するかまたは多く集まって総状、散房状、円錐状につく。
辺花は雌性で稔性があり1~2列で、青、青紫、
赤紫、赤、桃、白と花色はさまざまである。
心花は黄色を基調とし、両性で稔性がある。
園芸品種も含めて、草丈も15㎝程度の矮性のものから
2m以上にもおよぶ高性のものまであり、
開花時期も晩夏から晩秋までと変化に富んでいる。
園芸上の改良は、北アメリカ産の種が
ヨーロッパに導入されて種間交雑などが行われ、
多くの園芸品種が作り出された。
本属は、植物分類学上問題が多く、属の範囲が明確でない。
なお、一般に「アスター」の名で市販されている切り花は、
別属の Callistephus
(カリステフス)(和名属:エゾギク属) の一年草であり、
区別する必要がある。
[ 引用 : 園芸植物大事典
( 塚本洋太郎総監修:小学館発行 )、
花の名前( 植村猶行監修:NHK出版 )]
本属の仲間は、
シオン 、
ユウゼンギク を掲載している。