バ ラ(サクラ亜科)
マルス(リンゴ)
Malus toringo
マルス・トリンゴ
Toringo crab apple
北海道、本州、四国、九州、朝鮮半島に分布
低木ないし小高木
ズミは、北海道、本州、四国、九州、朝鮮半島に分布し、
山地や丘陵の陽地に生育する低木ないし小高木で、
高さ10m、胸高直径40㎝に達することもある。
よく分枝し、大枝が開出して、低く広い樹冠を作る。
葉はらせん状につき、短枝につくものでは長楕円形、
狭卵形ないし卵形をして、長さ3~8㎝ある。
長枝につくものでは、しばしば広卵形を呈し、長さ8㎝に達して、
3~5中裂する。いずれの葉も先端がとがり、
基部が円形ないし楔形であり、両面に軟毛があるか、
上面が無毛で下面も脈腋を除いて無毛である。
葉柄は、長さ1.5~3㎝あり、やや有毛である。
5~6月に、短枝上に束状に5~7花をつける。
花色は白色で、径2~3㎝ある。
花柱は3~4個あり、ほとんど離生する。
果実は球形で、径5~9㎜あり、果柄が長く、
紅熟、ときに黄熟する。果頂に萼裂片は残存しない。
ズミの材は、重硬で割れにくいので、斧や鍬の柄、
器具材、小家具材、薪などに用いられてきた。
また、樹皮からは染料のズミ汁がつくられ、
絹や木綿を黄色に染めた。
また、花木、生垣、リンゴの台木などとして植栽される。
本属の仲間は、
カイドウ 、
ノカイドウ 、
リンゴ 、
ヒメリンゴ
などを掲載している。
リンゴ属は、ヨーロッパからアジアにかけて
北半球の温帯に30種が分布する落葉高木である。
葉は有柄で互生し、葉縁には鋸歯がある。
花は集散花序で、花色が白または淡紅色で、
花弁は5枚で、雄しべは15~50個と多い。
葯は黄色である。子房は下位で3~5室からなり、
花柱も同数あるが基部で癒合する。
この花柱基部が癒合すること、
果肉中に石細胞がないか少ない点でナシ属と区別されている。
果実はナシ状果で、3~5室あり、各室に2個の種子を含む。
本属の野生種を母体に食用に供される種類(リンゴ)
と観賞用に供される種類がそれぞれ品種改良されてきた。
[ 引用 : 園芸植物大事典
( 塚本洋太郎総監修:小学館発行 ) ]