バ ラ (サクラ亜科)
マルス(リンゴ)
Malus domestica
マルス・ドメスティカ
Common apple
小アジアのコーカサス地方原産
落葉高木
リンゴは、リンゴ属の1種で、多くの栽培品種があり、
果実を食用とする果樹である。
リンゴは、小アジアのコーカサス地方原産の落葉高木である。
世界における栽培分布はかなり広く、
年平均気温10℃前後の比較的冷涼な地帯である。
休眠中のリンゴ樹は、耐凍性がかなり強く、
ふつう-25℃前後の低温に耐えるが、
耐凍性は栽培品種や木の栄養状態などによってかなり変化する。
日本の北海道中北部、北アメリカの内陸部などでは、
年平均気温はぞれほど低くないが、
冬の低温が著しいため栽培は制限を受けている。
一方、北ヨーロッパなどでは、年平均気温はかなり低いが、
冬の低温がそれほど著しくないために、
かなりの高緯度地方まで栽培が行われている。
リンゴの芽は秋から休眠に入るが、休眠から覚めるためには、
10℃以下の低温が総計で約1000時間以上必要である。
冬期が温暖すぎると、芽が休眠から覚めないために、
春になっても発芽、開花せず、栽培ができない。
日本でそのおそれのある地方は南西諸島である。
一枚目(右上)は、 Junko
さんが、次のコメントをつけて、
私に送ってくれたものである。
『 先週、関東方面に行ってきました。その時に信州で一泊し、
りんご畑を抜けて戸隠へお蕎麦を食べに。。。
澄み切った空気、周囲の山々は既に冠雪。写真は戸隠山。
青い空に映えとてもキレイでしたよ。』
二枚目(左上)も、 Junko
さんが、『 到着したばかりのリンゴですが、
見せるだけでは申し訳ないです。
ましてピンボケでは・・・』 とのコメントをつけて、
私に送ってくれたものである。
本属の仲間には、
ヒメリンゴ 、
カイドウ 、
ノカイドウ 、
ズ ミ
を掲載している。
リンゴ属は、ヨーロッパからアジアにかけて
北半球の温帯に30種が分布する落葉高木である。
葉は有柄で互生し、葉縁には鋸歯がある。
花は集散花序で、花色が白または淡紅色で、
花弁は5枚で、雄しべは15~50個と多い。
葯は黄色である。子房は下位で3~5室からなり、
花柱も同数あるが基部で癒合する。
この花柱基部が癒合すること、
果肉中に石細胞がないか少ない点でナシ属と区別されている。
果実はナシ状果で、3~5室あり、各室に2個の種子を含む。
本属の野生種を母体に食用に供される種類(リンゴ)
と観賞用に供される種類がそれぞれ品種改良されてきた。
【リンゴの形態】
落葉高木で、放任状態のものは高さ数mになる。
樹形は、幼木期は枝の直立性が強く紡錘形を示すが、
成木期に入って果実が多量につくようになると、
枝が下垂傾向を示し、
円錐形から半球形を示すようになる。
葉は楕円形または卵形で、先端は芒(のぎ)
形で基部は円形または切形で、葉縁は鋸歯状を示し、
裏面には短毛が密生する。
葉色は淡緑色、緑色ないし濃緑色で、
中肋が淡赤色を示すものがある。葉の組織はやわらかい。
花芽はふつう短枝の先端につく(頂花芽)が、
栽培品種によっては長枝の葉腋にもつくことがある。
花芽が着生し始める樹齢は比較的遅く、ふつう5~6年生からである。
ただし矮性種では3~4年生から花芽が着生し始める。
花芽は混芽で、約10個の鱗片でおおわれ、
その内部に5~7個の花と数個の葉および1~2個の側芽を含んでいる。
1樹内の開花の順序は、ほぼ花芽分化の順序にしたがっており、
開花始めからすべての花が咲き終わるまで約10日かかる。
花序は集散状であるが、中軸がごく短いので一見散形に見える。
先端の中心花が最初に開き、やや遅れて下方の側花が順次開く。
このことがナシとのもっとも顕著な相違点である。
蕾は初め桃色であるが、しだいに淡色化し、開花中の花弁は白色である。
花弁は5枚で萼片は5個で、雄しべは約20個で花糸の先端に葯が背着する。
花柱は5本に分かれる。子房には5室があり、
各室にふつう2個ずつの胚珠を含み、計10個の種子が形成される。
果実は、ナシ状果で、栽培品種により、
球形、扁球形、長球形、円錐形などを示す。
果皮は、紅色、赤色、暗赤色、黄色、緑黄色などに着色する。
赤色色素はアントシアニンであり、
黄色色素は主としてキサントフィルである。
[ 引用 : 園芸植物大事典
( 塚本洋太郎総監修:小学館発行 ) ]