キツネノカミソリは、日本の林床植物(下記注参照)で、
本属のうちでもっとも開花が早く、7月中~下旬である。
花茎は長さ30~50㎝で4~6花をつける。
花被片は斜向し、雌・雄ずいともに花被片よりやや短い。
花色は橙赤色で個体により濃淡の変異がある。
秋の終わりには小枝の先に、球形で黄褐色の花が散形花序につく。
花弁、雄しべともにそれぞれ5個である。
果実は液果状の石実をつける。翌年に熟して黒くなる。
一・二枚目(右上・左)は、広島県人さんが、 『 毎年お盆の頃に咲くこの花は群生していると目を引きます。』 とのコメントをつけて、私に送ってくれたものである。
近年、鹿児島県下で本種とショウキズイセンの種間雑種が発見された。
本種の変種には、雄しべが花被片より長いムジナノカミソリ
[ var. koreana ]
や、全体に大柄で開花時期がはやいオオキツネノカミソリ
[ var. kiushiana ] がある。
三枚目(左)は、野の調べさんが、次のコメントをつけて、
私に送ってくれたものである。
『 日曜日に菊池渓谷を散策してきました。
暫らく歩いていくとキツネノカミソリに出合いました。
ヒガンバナ科で有毒です、初めてみました。』
野の調べさんから送ってもらった画像は雄しべが花被片より長いので、
変種のムジナノカミソリではないかと思われる。
九州なのでひょっとしたら近年発見された新品種かも?。
本属の仲間は、
タヌキノカミソリ 、
ヒガンバナ 、
シロバナマンジュシャゲ 、
ショウキズイセン 、
ナツズイセン 、
リコリス・スプレンゲリ
などを掲載している。
リコリス属は、地下部の鱗茎から、
花茎と線状または帯状の扁平な葉を根出させる。
初夏に葉が枯れ、晩夏・早秋の候にまず花茎が地上に出現する。
葉の出現は開花と同時または直後の秋期出葉型と、
翌年の早春になる春期出葉型とに分かれる。
花茎は中空の円筒状で頂端に数個の小さな花を散形花序につける。
各花の花被片は6個で、基部は合着して漏斗状である。
雄しべはは6個で雌しべは花被と同じ長さかそれ以上ある。
果実は蒴果で、種子は黒褐色である。
鱗茎には良質のデンプンを含有するが、去痰、
催吐薬となるリコリンや
小児麻痺後遺症の治療薬であるガランタミンなど多くの
アルカロイドがあり有毒である。
[ 引用 : 園芸植物大事典
( 塚本洋太郎総監修:小学館発行 ) ]