ヒメコブシ(姫辛夷)、ベニコブシ(紅辛夷)
モクレン
マグノリア(モクレン)
Magnolia tomentosa
マグノリア・トメントサ
Star magnolia
愛知県を中心に自生
落葉小高木
シデコブシは、ハクモクレン亜属、コブシ節、モクレン属に属し、
愛知県を中心にごく限られた範囲に自生している落葉小高木である。
樹形が小形で庭木に適し、花弁数が多くて花色の変異もあり、
観賞価値が高く、園芸的に広く利用されている。
ヨーロッパには1877年に紹介されている。
枝は細く短く、横開性となり、若いときに密に毛が生える。
葉は長楕円形で、長さ5~8㎝で幅1~3㎝で鈍~円頭である。
花は早春に葉に先立って咲き、白~淡紅色で花径は約8㎝である。
花弁は幅0.8~1.2㎝と狭く、ふつう12~18枚あり、
シデ(玉串(たまぐし)や注連縄(しめなわ)などにつけて垂らす紙)状となる。
野生のものは絶滅に瀕している。観賞価値の高い園芸品種が多く作り出されている。
三枚目(左)は、白色のシデコブシであり、数としては比較的少ない。
愛知県に住んでいる私にとっては、シデコブシはあまり珍しい植物ではなく、
ごくふつうに公園などで見ることがで幸いである。
同属の仲間は、
コブシ 、
オオヤマレンゲ 、
ウケザキオオヤマレンゲ 、
タイサンボク 、
シモクレン 、
ハクモクレン 、
ホオノキ など、
とても美しく見ごたえがあり、私の好きな花木を掲載している。
1・2枚目画像撮影日:2006.03.26
3枚目画像撮影日:2006.04.09
4枚目画像撮影日:2007.03.29
5枚目画像撮影日:2006.03.26
五枚目(左)は、市が作成したシデコブシの名板である。
この名板では、
Magnolia stellata Maxim.
(マグノリア・ステラタ) となっているが、
これは学名の異名であり、私は私の図鑑に基づき
Magnolia tomentosa Thunb. を採用した。
モクレン属は約90種からなり、太平洋をはさんでアジア大陸と
アメリカ大陸に隔離分布し、アジア大陸に多い。
アジアでは、ヒマラヤ、東南アジア、マレーシア、
東アジアに、アメリカでは北アメリカ東・東南部、
中央アメリカ、南アメリカ北部に分布し、ほとんどの種が山地生である。
また全種数のうち大半は熱帯・亜熱帯産で、
残る温帯性のものが広く栽培されているが、
高木性のものが多いので、どちらかと
いうと広い庭や公園向きである。
常緑性または落葉性で、高木あるいは低木である。
葉は単葉で薄質または厚質で、全縁で有柄で互生するが、
ときに枝端に集まって輪生状を呈する。
早落性の托葉は膜質で幼葉を包み込み、
あるいは厚く長毛をともなって冬芽や蕾を包むので、
小枝や花柄の周囲を取り巻く
脱落痕が見られる。
花は大形で両性で1個が頂生し、芳香のあるものが多く、
葉に先立って開花するものと、
葉と同時および葉の開花後に開花する
ものとがある。
萼弁は3個で、花弁は6~12枚(まれに多数)で、
花色は白、ピンク、紫、黄色などである。
しばしば萼片は花弁状を呈し、花弁と区別しにくいことがあるが、
花弁が花軸にらせん配列するのに対して敷石状に基部を接して
輪生するので、両者の違いが明らかである。
雄しべはへら形で、葯のつく位置が花軸側のものと、
花軸に対して横向きのものとがある。
雌しべは2胚珠を含む1心皮からなり、
心皮縁の一端が嘴(くちばし)状にのびて側面に柱頭をもつ。
ときに短い雌ずい柄をもつことがある。
雄しべ雌しべとも多数あり、いずれも長い花軸にらせん状に配列する。
果実は革質または木質の袋果で、
楕円体~紡錘体の集合果を形成する。しばしば集合果はねじれる。
袋果は背面で裂開し、赤色肉質の外種皮と黒色硬質の内種皮をもつ種子が、
白い糸状組織でぶら下がる。
[ 引用 : 園芸植物大事典
( 塚本洋太郎総監修:小学館発行 )、
花の名前( 植村猶行監修:NHK出版 )]