ナニワイバラは、中国中南部、台湾に自生する常緑小低木である。
九州、四国、京都(保津峡)にもあり、
これらは栽植品が野生化したといわれている。
江戸時代に大阪の植木屋が普及したので、
ナニワイバラの名がついた。
半常緑で数メートルに達する長い蔓を伸ばし、
前年枝から分枝した短花枝の先に径6~8㎝
の白色一重の花を5月ごろ咲かせる。
シュート(新梢)の元から先まで花が咲き、
大株は株が花でおおわれる。
花もちは悪いが、ウメの花のような微香がある。
枝や葉柄に下に曲がった強い刺がある。
小葉は3個で鋭頭楕円形で無毛で質がかたく
上面は深緑色で光沢がある。
萼片、萼筒、花柄に細い刺を密生する。
果実は洋ナシ形で暗橙赤色に熟する。
花や葉も美しく病気や害虫も少ないので、
関西以西ではよく生垣に使われていたが、株が大きくなりすぎ、
また花期が短いため最近は敬遠されている。
バラ属は、大きな属で4亜属に分けられ、
園芸的にはそのうちバラ亜属が重要である。
バラ亜属はさらに10節に区分されている。
北半球の新旧両大陸の亜寒帯~熱帯にかけて広く分布している。
本種の分類は難しく、分類学者の間で種名や種の数に異同があるが、
しだいに整理されてヨーロッパと北アフリカに10種、
アジアに93種(日本には11種と2~3種の変種)、
アメリカ大陸に20種の約120種と、
そのほか多くの変種および自然交配種が認められている。
このうち8種が現在の栽培バラの主要祖先で、
ほかの数種が一部の園芸品種作出に関係している。