本種は、非常に多形で、狭義のヤマアジサイのほか、
エゾアジサイ、アマギアマチャなどいくつかの地方変種に分かれる。
ヤマアジサイ(狭義)は、北海道から九州まで全国に分布しており、
朝鮮半島南部にも自生する。
基準品種[f. serrata]は、
ガクアジサイに比べ全体に小づくりで、枝も細く、皮目はない。
葉は先が尾状にとがり、光沢に乏しく、伏毛は疎生する。
花序は径4~10cmで装飾花は白または淡青色で、ときに紅色を帯びる。
ヤマアジサイには「甘茶」の成分であるフィロズルチン配糖体の含量が多い系統が有り、
甘茶生産を目的に栽培されるが、これをとくに「アマチャ」と呼ぶことがある。
本属の仲間は、
アジサイ 、
ガクアジサイ 、
カシワバアジサイ 、
コアジサイ 、
ツルアジサイ 、
ヤクシマアジサイ 、
コガクウツギ 、
ノリウツギ
などを掲載している。
アジサイ属は、世界に四十数種あり、東アジア、
北アメリカ東南部~南アメリカ中部にいたる広い地域に分布している。
本属の植物は低木またはつる性で、有柄で托葉のない葉を対生(まれに3輪生)する。
花序は複集散状または密錘状で卵形または披針形の苞葉がある。
花は放射相称で、両性花のほかに捻性の低い装飾花を有する種が多い。
装飾花の花弁様の部分は萼片が変化したものである。
両性花の萼は子房と癒着した萼筒と萼裂片に分かれる。
花弁は小さく萼筒の上縁につき、一般に早落性の傾向がある。
子房は下位または中位で熟して蒴果となり離生した花柱間で心皮の縫合線に沿って裂ける。
種子は小さく長さ1㎜前後である。
[ 引用 : 園芸植物大事典 (塚本洋太郎総監修:小学館発行) ]
【追記】
アジサイ属は、新エングラー体系ではユキノシタ科(バラ目)に入れられていたが、
クロンキスト体系では、単独のアジサイ科(バラ目)
としてユキノシタ科から分離された。
最近の APG の見解では、ユキノシタ科とは縁遠いことが明らかになり、
ユキノシタ科が入っているバラ目からミズキ目に変更された。
本種は、以前は「アマチャ」で登録していたが、アマチャは栽培品種であり、
野生種はアマチャの基準品種である「ヤマアジサイ」に分類する方が適切と考え、
ヤマアジサイに修正した。